★21 アレクとフリッツ
よろしくお願いします。
涙を流しながら愛海が四つん這いで俺に近づいてきた。
結菜も走ってきて叫んだ!
「愛海、ヒロトの左腕を持って、早く!」
愛海が俺の左腕の傷口を慎重に合わした。
しゃがんだ結菜が傷口に両手を当て回復魔法を唱えると、急速に痛みがなくなった。
ほっとして力が抜けた。
左手でグーパーしてみる。
出来た、痛くない!
「ありがとう、結菜!」
結菜にしがみついてまた泣いてしまった。
愛海は涙をこぼしていたが、俺の腕が治って泣き止むと
申し訳なさそうに謝った。
「ホントにゴメンね、ヒロト。」
「ほら見て、この手を。どうかな?」
俺は左手を動かし、グーパーチョキとして見せた。
「うん、ちゃんと動いているね、よかった・・・」
愛海がホッとして少し微笑んだ。
「うん、だから愛海はもう謝らないで。
俺と一緒に、結菜にお礼を言ってくれ。
結菜、助けてくれて、腕を治してくれてホントにありがとう。」
俺と愛海は結菜にお礼を言うと、やっぱり俺の左腕を心配そうに見ていた結菜も微笑んでくれた。
「愛海もありがとう。」
「えっ、なんで。」
俺が愛海にお礼に言うと、愛海は可愛らしく首をかしげた。
「ボーメルを倒してくれたじゃない!
それに俺だったら腕を反対にくっつけちゃって、大騒ぎになっていたと思うんだよね!」
真剣な表情を作って言ってみた。
「くすっ」
2人とも笑ってくれた。
「立てる?」
結菜に言われて、立ち上がろうとしたが、少しよろけて立ち上がれなかった。
「「大丈夫?」」
2人がハモって、俺に顔と体をぐっと近づけてきた。
ああ~、これ2人とも俺のこと好きなんじゃね?
2人に、キスできるんじゃね?
イケるよね、これ?どっちだ、どっちを先にする?
2人いっぺんに行っとくか?行って伝説になっちゃうか!
「おーい、大丈夫か?」
遠くから若い男の声が聞こえた。
結菜と愛海がさっと体を離し、さっきの親密な雰囲気はどこかへ行ってしまった。
くそっ、なんなんだ、誰なんだ?
よろけながら立ち上がって待ち受けていると、2人の若い男が近づいて来た。
剣は腰にさしたままで、好戦的な感じはない。
ボーメルと一緒に来た若い2人だ。
「えっと、僕はアレクといいます。こっちはフリッツ。
ボーメルのパーティに仮に入っていたけれど、貴方たちを攻撃するっていうので、
離脱しました。怪我したんですか、大丈夫ですか?」
アレクは、少し長めの金髪で、めちゃくちゃハンサムだ!
フリッツは、背は俺より高くて黒っぽい銀髪は短く刈り込んでいた。
「貴方たち、孤児院にいたわね?」
結菜が尋ねた。
「そうだよ、アレクが孤児院を助けてくれる人への攻撃は絶対ダメっていうからさ。
おかげで高い報酬をもらいそこねたよ。」
フリッツが辺りを見回しながらお気楽そうに言った。
俺は、殺人現場を見られたことに気づいた。
「それで、俺たちに何のようだ?」
「戦闘になれば苦しいのではないかと思って助太刀に来ましたが、不要でしたね。
強いんですね。」
アレクも4つの死体を見回している。
「ま、まあな。」
「僕たちを貴方たちのパーティに入れてもらえませんか。
僕は15歳、僧侶で回復魔法、盾、棒術が使えます。
フリッツは15歳、戦士で長剣を使います。
パーティの損になることは言いませんし、このパーティに一番必要な前衛と回復魔法を手に入れることが出来ますよ。」
アレクが提案してきた。
ボーメルを殺したことを黙っといてやるから、っていう感じではないな。
むしろ、これなら俺たちが安心でしょっていう感じか?
賢いな、コイツ!
「嘘はいけないわね。」
愛海が言うと、2人はハッとした。
「2人とも14歳ね。だから孤児院でお世話になっているのでしょう?
まだ、冒険者は早いわ。」
愛海が優しく諭した。
「14歳だけど、その辺の冒険者より俺たちは強いぜ!
それに、さっきは結構ヤバかったんだろう?」
フリッツは身振り手振りで必死にアピールしてきた。
「15歳になったら考えるわね。」
愛海は全く折れなかった。
4人の死体からお金、武具を奪った後、冥福を祈って火葬した。
「土工」と「木工」のスキルをオジサンから頂いた。
工事現場で働いていれば死なずにすんだのに・・・
アレクとフリッツに昼ご飯をご馳走した。
「すげー、アイテムボックスから料理が出てくるの、初めて見たよ。」
「ああ、すごい容量なんだね。」
ふたりとも結菜のスゴさに驚いていた。
「お前たちは食べ終わったら手ぶらで帰れ。
後で俺たちのホテルに来たら、お金を渡すから。」
「冒険者が帰って来ないことはよくあることです。
ボーメルたちには斥候がいなかったから、
おおかたゴブリンに奇襲され、全滅したのでしょう。」
俺の言葉には答えず、アレクは俺の心配を解消する台詞をはいた。
やっぱり賢いな、コイツ!
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