★19 罠
よろしくお願いします。
4月24日
ギルドに行くと、俺たちのパーティに加わりたい二人がいるという。
別室で待っているということなので、結菜と愛海とその部屋に向かった。
二人の戦士が立ち上がり、太り気味でスキンヘッドの大柄な戦士が名乗り、
隣の細身の戦士を紹介した。
「戦士のボーメルだ、こっちは戦士のニコラスだ、よろしく。」
斜め後ろにいる愛海の雰囲気が変った。
コイツが例の奴か?
「ギルドの奴らから優秀な魔術師二人と斥候のパーティがいるって聞いた。
ワシら二人の強い戦士が加われば無敵だ。よかったな。」
了解を得ないうちから、もう入った気でいる。
「いや、その前に、なんで二人なの?
この街のデキる冒険者はもう6人パーティばかりって聞いていたけど?」
「ワシらはプレドナへ護衛に行っていたんだ。
ギルドの連中は俺たちのことを忘れて、いい加減なことを言っただけだ!」
・・・早くもキレ気味だな?なんで答えないんだ?
後ろめたいことでもあるのか?
ぜひ、訊かねば!
「なんで二人なの?」
「なんで理由を言わなきゃいけないんだ?」
「答えられない理由があるの?」
「ケンカ売ってんのか?」
「いやいや、パーティを組むなら知っておきたいんだよ。
教えてもらえれば、加えるかどうか相談はしてみるけど?」
「加えるかどうかだと!えらく強気だな?ギルドの中だから安心しているのか?
ここでワシらの強さをお前に見せてやってもいいんだ!
外ではだれが守ってくれるんだ?
斥候が戦えるのか?強い戦士しかいないだろうが!」
恫喝が始まった!
「その強い戦士がなんで今、二人なのか教えてって言っているんだけど。」
「おい、せいぜい気をつけろ!魔物はどこから襲ってくるかわからないからな。」
俺に顔を近づけてきて大きな声を出した。
恫喝する奴はみんな同じだな。
チュッとしてやろうかなって思っていたら、乱暴にドアを開け出て行った。
「愛海を狙っていた奴なの?」
「ヒロトまで狙われちゃったね。」
愛海が呟いた。
「しょうがないわ。あんなの仲良く出来ないもの。
もう一人の方は、私をイヤらしい目で見ていたし!」
結菜がプンプン怒っていた。
愛海は気づかれないようボーメルを鑑定していた。
ボーメルは30歳の戦士で、魔法は使えない、長剣はまあまあ使える、
あと秘技を持っているそうだ。
意外と手強いか?
ボーメルとニコラスは銀ランクパーティの一員だったが、
最近、護衛の途中で盗賊たちに襲われ、リーダー含め何人か死んだらしい。
護衛対象だった商人が殺されたか、拉致されたため、以後、仕事が少なくなって、
この街でくだを巻いているとのことだ。
ボーメルはすぐ誰にでも噛みつき、他人に譲ることがないため嫌いだそうだ。
ニコラスと二人のコンビなので、新しいメンバーを募集しているらしい・・・
4月25日
2泊3日でハントに出かけた。
尾行してくるやつがいないか注意していたけど、いなくてホッとした。
奴らがどれくらい強いかわからないけど、魔法を耐えられたらヤバいって思う。
夕食時に思いついたことがあったので相談してみた。
「なあ、ボーメルとかに襲われた時のために、どこかに罠を張っておかないか?」
「どんな罠をどこに仕掛けるの?」
「獣用の罠を森の中に、かな・・・」
「それはダメね。いざって言うときに、魔物がかかっているかもしれないじゃない。
それに獣用の罠ってあんまり大きくないじゃない?そもそもかかるかしら?」
「うっ、確かに!」
愛海に瞬殺されてしまった。
美しい手を頬に当てて考えていた結菜が提案した。
「魔法で電子レンジを作れないかな?」
「うん、どういうこと?」
「4本の木の根元と頭上に釘を打って、その範囲内は黒焦げになるってこと。
最後の1箇所だけは、追いかけられてから打つってことね。」
「範囲はどれくらいいけるんだ?」
「そうね、5メートルから10メートル四方くらいね。
当然、狭い方が威力は高いわ。」
釘はなかったので石ころで実験してみたら、ボロぞうきんが燃え上がった!凄い!
翌日、すぐに西門まで帰り、俺だけが釘と金槌を買いに走った。
戻ってみるとネヴィルとイワンが中心となって衛兵たちが結菜と愛海と談笑していた!
くそっ、俺の女に手を出すなって叫びたい!
結菜と愛海に「行こうぜ!」って声をかけた。
2時間ほど街道を歩き、そこから森の中へ入っていくこと10分。
良い感じの場所があったので、結菜が呪を呟きながら釘を木に打ち込み始めた。
「・・・白装束で、午前2時が良かったんじゃない?」
「呪ってあげましょうか、ヒロト!」
俺が冗談を言ったら、結菜が微笑みながら答えた。ぞっとしたよ!
呪を呟きながら、魔力を込めながら、釘を打っていくので大変そうだった。
午後まるっとかかってようやく準備が出来た。
俺も愛海にも分からないが、結菜は会心の出来映えだって言っていた。
一度街に帰って1日休息した。
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