★16 先生
よろしくお願いします。
先生と一緒に近くの店に入り、3人とも紅茶を頼んだ。
もちろん、防音魔法はセット済だ。
まずは俺たちの話をして、その後先生の話を聞いた。
先生の職業は言霊使いで、気づいたらこの街のすぐそばだったという。
先生は身に着けていたネックレスを売り払い、当座の資金にした。
そして、ギルドの図書館で勉強し、
回復用ポーションを言霊で生産できることにすぐに気づいた。
ポーション用の魔石を買って、毎日、10本作製して売り払っていた。
しばらくは1日4千リラの儲けがあったが、一昨日ギルド長が出てきて、
「儂の指導を・・・」
断ったら、今は2千リラだそうだ。
ギルド長め、いつか痛い目にあわせてやる!
先生は、少し茶っぽい黒髪をショートにしている。優しそうでかわいい。
背は女子としては普通だ。
人を落ち着かせる声と雰囲気も穏やかでいいな、
結構年上だと思うけど、ホントかわいいなって思っていたら、結菜にほっぺをつねられた。
俺が先に痛い目にあっちゃった。なんで?
ごほん、ずいぶん安くなったな。
先生は、近くに家を借りているそうだが、それじゃやっぱり赤字だな。
「じゃあ、今日初めて富士谷くんと会ったんですか?」
「そうよ、他の生徒たちとも会っていないわ。」
富士谷か・・・あんなヤツだったとわ。
いつも対馬たちの腰巾着だったくせに、勇者だって思い込んでいるとわ!
まあ、さんざ俺に嫌がらせをしたんだからちゃんと罰を受けるがいい!
「言霊使いってどんな能力なの?攻撃魔法とか使えるの?」
「そうね、火魔法、防御魔法、詠唱省略、複写、融合、地図、鑑定、鑑定妨害、収納、
通訳、着火、照明、飲み水・・・かな。」
う、凄い!だけど先生も最後何か誤魔化していたような・・・
女特有のスキルがあるのかな?
魔術師、陰陽師、言霊使い、どう違うんだ?
俺から先生を誘えないよな~って思っていたら、結菜が誘ってくれた。
「もしよかったら私たちと一緒に魔物をハントしませんか?
まあ、私たちもトントンくらいですけど・・・」
俺も誘うことにした。
「前の世界の知識と先生の能力なら、すごく儲かるものが出来るかもしれない。
だけど、この世界じゃすぐに真似されるだろうし、真似できないものなら邪魔される。
自分を守るために、強くならないといけないと思う。」
「そうよ、もう私たちもギルド長にセクハラ、パワハラされているんだから!」
「そうね、強くならないといけないわね。
でもそっちの方が危なくないかしら?
オークリーダーと戦って苦戦したんでしょう?」
「でも、オークリーダーのことを尋ねたら、
ダンジョン深くにはいるけど、この辺りでは見たことねーだって・・・」
「まあ、あれからスキルをたくさん奪ったし・・・」
俺と結菜はちょっと詰まってしまった。
「盗賊とも戦ったんでしょう?」
「それは避けようと思えば、避けられたよ。だけど、善良な商人たちを助けるためだったんだ!」
俺は挽回しようと張り切って答えた。
「怪我したのはヒロトだけだしね!」
「結菜、それじゃ俺が弱いからみたいじゃないか!」
「私が守らなければ大怪我だったわね!」
「いや、そうだけれども!」
「冗談よ。先生、ヒロトは必ず私たちを守ってくれるわ!」
先生は微笑んでいた。
「仲いいのね・・・実は近所の冒険者に付きまとわれているの・・・
それでもいい?」
「もちろんよ、助けあいましょう!」
「ありがとう、二人といるほうが安心よね・・・」
言霊って何ができるの?回復薬を作れるってことは他にも何か作れるよね?
早速、結菜が先生に耳打ちしている。俺には内緒なのかよ・・・
「まず魔石が必要よ。
でもリュックに色んな物を入れて全部コピーしようとしたら、空っぽのリュックだけだったの。
ポーションを10個作成するだけで魔力がほぼなくなるし。
どうしようって思うよ・・・」
「魔石は色んな色があってさ、少しずつ持っているよ。
リュックがちゃんと出来ているのなら、木箱に物を詰めてさ、
蓋を釘でちゃんと閉めたらいけるんじゃない?」
「あ、いいんじゃない、試してみようよ!」
「魔石はギルドから買わないとダメよ?」
「あ、そうか。まあ、1個くらいならいいでしょ!」
先に先生のローブ、ロッド、マント、寝袋など、ハントに必要な装備を買いに行った。
先生はあっさりと決めたが、結菜が装備で気になるものがあったらしく、悩んでいる。
先生がそっと近づいてきて、ささやいた。
「さっきはありがとう。あの子がまくしたててきて、困っていたの・・・
関わっちゃいけないって思いながらも、ね・・・
助けてくれて嬉しかったよ。・・・かっこよかったよ。」
「どうも。」
緊張して、「気を付け!」の姿勢になってしまった。
先生はクスッと微笑んで、結菜に近寄っていった。
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