★15 富士谷 勇気
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4月18日
今回は、1泊2日で行ってみることにした。
また昨日の兵士が結菜に挨拶をしてきた。
盗賊たちの根拠地に一緒に行ったイワンがいるが、俺たちに興味はないようで
近寄ってこない。
「おはよう、昨日はどうだった?ああ、俺はこの門の部隊長のネヴィルだ。」
「おはよう、私は結菜よ、よろしく。」
「ユウナか、いい名前だな。」
俺を無視するんじゃない!
「昨日はあんまりだったから、1泊で行ってみるの。」
絶句するネヴィル。
「・・・こいつと、こいつと二人っきりで1泊するのか?」
俺をイヤそうに指さしている。
「イヤだな~、ヘンなことはしないです!」
「そうだよな、ゴブリンは夜襲も上手だ。
新入りはよく痛い目にあっている。夜は特に気をつけるんだぞ!」
周りの兵士が、ニヤニヤとネヴィルを眺めていた。
半日以上歩くと麦畑はなく、森の中となった。
ウサギが1羽、イノシシが3頭、毒蜘蛛が1匹、ゴブリンが10匹だった。
ギルドで聞いた話よりゴブリンが多かった。
これでも少し赤字だろう。
だが、「地獄耳」「毒耐性」「隠密」のスキルを得たよ!
「地獄耳」は意識すれば今までより少し聞こえるようになったよ!
テントは、外に対して防音、防臭、遮光、防寒の優れモノだ。
「このテントいいよね!寝袋の寝心地も良くって寝過ごしそうだよ!」
索敵が寝ているときに作動しているか、やはり不安なので交代で夜番をした。
食事はすべて街で買って、結菜のアイテムボックスに入れておいたら、
やっぱり熱々で出てきたので、キャンプ生活は楽なものだった。
「1泊2日でもちょっと稼ぎが少なかったよね。次回はどうしよう?」
「そうね。私たちが出会った辺りにたくさんいたよね。
一気に3泊4日で行ってみようか?」
「そうだね、俺の索敵がちゃんと働いているし行ってみようか。」
「でも、明日はカラカスの街をもっと歩いてみよう!」
「いいね!」
明日は休みだ!結菜とデートだ!まあ、毎日二人っきりだけどな!
4月20日
朝、ギルドに行って魔石を買い取ってもらった。
副ギルド長が銅ランクに出来なかったことを謝ってくれたが、
全く気にしていないと答えた。
「この魔石の量は何日分だい?」
「2日分だけど・・・」
「へー、結構多いな。」
「ところでこの前のヤツなんだけど・・・」
「ああ、「ギルタブ」っていう銅ランクパーティで、つい最近、プレドナから来たんだ。
戦士のドブロイって奴だね。
そいつがリーダーで、一人だけ大分年長で、後は若者の5人パーティだ。
気を付けるんだよ。」
「ああ、ありがとう!」
次回は3泊4日で行くことにした。
最低一人12食はいるので、ランチを食べに行くついでに、
いくつかの店で弁当を買うことにした。
歩いていると通りの真ん中で若い男女がもめている。
なんだろうと近づいてみると、古文の茅本先生と富士谷勇気だった!
富士谷は俺の父親の万引き事件を知り、同級生に吹聴し、
対馬宗次郎たちの尻馬に乗って俺にさんざ、嫌がらせしてくれた奴だ。
コイツとは会いたくなかったけど・・・
富士谷がまくし立てていて、先生は困っているようだ。
先生はこの街の一般人の恰好で、富士谷は汚ないジャージで、剣を腰に差していた。
「先生!」
俺と結菜が同時に声をだした。
「友道さんと・・・」
ええ、どうせモブですよ。
「先生、どうしたんですか?」
結菜が尋ねたが、それに反応したのは、富士谷だった。
「おお、友道と大林じゃねえか。いいところにきた、4人でパーティを組むぞ。
もちろん、リーダーは勇者の俺様だ。俺がお前たちを導いてやるよ。
この世界でお前たちもついでに英雄にしてやる。まずは、金をだせ、俺の装備を整えるんだ。
なんでお前らの方がちゃんとした恰好をしてるんだ。違うだろ、俺の装備を充実させるんだ。
俺は、勇者なんだからな。何もわかっていない、この町のボケどもを見返してやるんだ。
俺様が最強だと、俺様が勇者だとわからせてやるんだ。
俺様を敬わすんだ。俺様を拝ませるんだ。
よかったな、勇者である俺様と組めて。幸せだぞ、お前ら。
ああ、友道と先生は俺様の愛人にしてやるよ。嫁は王女に決まっているからな。
大林には、後でおこぼれをやるからな。
万引き野郎のお前には勇者のお供で大満足だろ、犯罪者じゃないんだからな。
よかったな、万引き野郎の分際で勇者のお供だぜ!
やったな、あの世で親に自慢しろよ。まあ、友道と二人でいたことは許してやるよ。
まずは、金をだせ。」
大丈夫か、コイツ?
「・・・全部、断る。
お前が勇者だったとしても、金はださないし、お前とは組まない。
結菜も先生もお前とは組ませない。
一人でがんばれ、じゃあな。
結菜、先生、行こう。」
富士谷は呆然としていた。
断られるとは夢にも思っていなかったらしい。
「万引き野郎は死ね!!」
我に返って富士谷は呪文を唱え始めた。
「街中で魔法を使うのはダメよ!」
先生が叫んだが、富士谷は呪文を唱え続け俺に火魔法を放った。
呪文は長いし、野球のボールより遅かったので余裕で躱せた。
炎は後ろの屋台を焼き、破壊した。
俺が接近すると富士谷は剣を抜こうとしたが、焦ってできない。
魔法を避けられるとは思っていなかったようだ。
ホントに幸せな野郎だ。
富士谷のアゴをぶん殴った。富士谷は跪き、気絶した。
屋台の火はすぐ消し止められたが、大騒ぎとなったため、6名の兵士がやってきた。
「何があったんだ?」
兵士が屋台の主に尋ねた。
「気を失っているあいつが、あの三人ともめて、魔法をぶっ放したんでさ!
大損害だ、弁償させてくださいよ!」
「何があったんだ?」
今度は俺に訊いてきた。
「こいつは俺たちの昔の知り合いで、久しぶりに会ったら金をせびられたんだ。
断ったら逆上して、魔法を放ったんだ。」
「それだけでか、なんだ、こいつ?じゃあ捕まえていくか。
お前たちの名前、住んでいるところを教えてもらおう。」
先生が、兵士に向かって少し上目遣いでお願いした。
「あの、この子は親元から無理やり引き離され、混乱しているんです。
できれば穏便な処置を・・・」
いや、俺、殺されそうだったんですけど・・・
兵士たちは少し照れながら、上司に伝えておくと言ってくれた。
「むう~」
なぜだか結菜がむくれていた。
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