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武闘派霊媒師は鉄拳でお仕事なさってます。

作者: 彩観良

「ここが幽霊を何とかしてくれって依頼のあった物件かー」


意外と立派な外見の一軒家。

ここが今回私の師匠である村上さんが霊的現象を調査してくれと。と、引き受けた場所だった。


「で、どんなお化け出るんな?」


家の中に入りながら、村上さんはそんなことを聞いてきた。


「お化けというよりはポルターガイストみたいな感じですね。物が壊れたりとか、変な音がするとか、そんな感じだって依頼主の方は言ってました」


ふーん。という感じで家の一階を見回りながら、村上さんは居間に置かれたテレビを着けた。


「別に普通に電波来てんやん、ホンマになんか居るんやったらテレビなんかノイズまみれでマトモに映らんはずやねんけどな」


村上さんの言う通り、点けたテレビの画面はなんのノイズも走らず、高画質に時代劇を映していた。


「気のせいちゃうん?まぁ、それでもちゃんとした結果出したらええ感じの報酬くれるって依頼主は言うとったから、納得できるように調査はするけど……」


村上さんはどう考えても気のせいであろう現象に対してもちゃんとした調査報告は一応したい性格なので、こういう何もないであろう現場であっても逐一調べる。


「夏織ちゃんはテレビみときーな。俺は二階の方ちょっと見てくる。もしかしたら原因は二階の方にあるってタイプな事もあるし」


村上さんがそういうので私は居間に座ってテレビを見ている事にした。

何インチあるんだっけこれ。と思いたくなるような大型テレビで鑑賞できる機会なんて電気屋に行くとき以外めったにないもの。


流石というかこの大きさで観るテレビは大迫力だった。

ああ、早くこんな生活出来るようにならないかな?なんて思っていると、部屋の奥からガタン!と何かが落ちる音がした。


「ビックリした……何も無いといってもやっぱりこういうのあると驚くよねぇ」


(お……ろ、い…た?)


何?今、何か聞こえた。


(お  ど  ろ  い  た  ……  ?)


今度ははっきり聞こえた。

というか真後ろから耳のそばでささやくように冷たい呼吸の声が聞こえた。

居る。

真後ろにいる。

はっきり分かる。

人間の温度では考えられない冷たい何かが後ろにいる。


(ね ぇ  な ぁ に して、 るぅの ぉぉぉ?)


何をしたいのか分からない存在に私は一瞬で腰を抜かしてしまった。

恐怖で振り返る事も出来ない中、冷たい両手が私の首をゆっくりと絞めた。


「か…は……っ!?」


(ね…ぇ)


ゆっくりとした感触にも関わらず、意識が朦朧としていく。

まずい。

村上さん、たすけ


「あーやっぱり上にも何も無かったわ。ここ別に霊とかなんも……」


おらんわ。と言い切る前に村上さんは私の首を絞める何かに向かって、数珠をメリケンサックみたいに巻き付けて殴り飛ばした。


「大丈夫か?」


咳込みながら肯定するように頷くしか出来なかった。

そうか、ジッとしとけ。と言って村上さんはたった今殴り飛ばしたモノに向き直る。


「なんやコイツこの家の関係者か、女みたいやけど……?」


心霊もので一度は見たことあるような長い髪と白い服というような物ではなく、茶髪でゆるふわ系というような姿をした女の霊がそこには居た。


「お前誰なん?この家の関係者か?」


村上さんはいきなり霊に向かって話し始めた。

まさかそんな風に聞いても答える訳が


(ち がい ます)


あったわ。

ありましたわ。

質問に答えてくれましたわ。


「すまんかったなぁ、うちの助手の首なんか絞めてるから思わず殴ってもうたわ」


表情の無かった女の顔に温度というか元々の彼女が持っていた穏やかな表情が戻って来る。


「何をしたんですか?」


村上さんにさっきまでの冷たい様子とは打って変った女の様子に私は質問した。


「さっきの一発でこの子の邪気を吹っ飛ばした。この子は多分やけど生霊かなんかなんやろう。本人も普通に生きてるはずやで?」


何故そんな事まで分かるのか?と言うと、この子には霊的な線が繋がっていて、それは恐らく本体に繋がっている。本体があるという事はここに居るのは生霊だろうと考えた。

そういう事らしい。


「見ての通り、この家は君が居った頃とは住んどる人も違うようになってもうてる。ここに居っても本体が疲れるだけやから、君自身に話を聞きたいから良かったら案内してくれへんか?」


村上さんがそう諭すと、彼女は「分かりました」と言い残して姿を消した。


「終わったんですか?」


ここでの仕事は終わったわ。と言って村上さんは帰り支度を始めた。


「首、平気か?」


痕残らんかったらええけどなぁ。とため息をつきながら私の首を撫でてくれた。


「あの、くすぐったいです……」


誰も見ていないのになんだか気恥ずかしかった。


「あの子もあの子やけど、うちの助手のこんな細っそい可愛い首が台無しになったらそれはそれで別料金支払ってもらわんとな」


首を絞められたのは確かに怖かったけれど、男の人に撫でてもらうのって何だか安心する。

そう思えてしまった。

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