2020年、地球滅亡の年
2020年、地球は滅亡した。
この年蔓延した新型コロナウイルスは、想像を絶するほどの早さで地球を呑み込んだのだった。
人類は戦争だの温暖化だの色々喚いていたようだが、結局ウイルスという、人間からすれば虫けら以下のような生物にあっけなく敗北したのである。
我々がこの星に着いた時には既に死体の山だった訳だが、1人、たった1人だけ生存者がいたのを今でも覚えている。
そいつは科学者だったらしい。血で赤く染った白衣に身を包み、何やら水色の液体の入った注射器を持っていた。
我々は、唯一の生存者であるその科学者にコミュニケーションを取ろうと試みた。
我々「ソコノモノ、コノホシニナニガオコッタノダ。」
科学者「私のせいで、私のせいで地球は…」
我々「クワシクハナセ。」
科学者「私には愛する妻がいた。本当に、心から彼女を愛していたんだ…」
我々は泣きじゃくる科学者から全てを聞いた。
彼は、長いスランプを抱えていた。実験は失敗の連続、自暴自棄になっていたのだ。そんな彼の心の拠り所は最愛の妻だった。彼女はとても優しく、容姿も美しい。そんな彼女に男が集まらない訳もなく、彼の親友もそのうちの一人だ。彼は、親友が彼女を狙っていることに気づき、殺してしまったらしい。時に人間は欲望ゆえに驚異的な支配力を持つようだ。
そして彼は言った。
「私はコロナウイルスによって最愛の妻を失った。だから、コロナウイルスに打ち勝つワクチンを開発したんだ。でも手違いがあったようだ、、あと1分しかもたない。」
どんな手違いだよ…と思ったが言わないでおいた。彼が死んでしまい地球に人類はいなくなるのは悲しかったが、どうせ奴隷が増えるだけかと思い直す。そもそも我々に感情なんてないのだ。
最後に彼はこう言った。
「メアリー、愛している」と。