困った事情
それでも、数日間は動けなかったの。
だって、兵士が見張っているんだもの。
五日経ってやっと疑いが晴れたみたいで、ライル達第三部隊の兵士達は帰ってくれたわ。
でも、万が一があるから、その日は普通に過ごしたの。
夕食の時に、気が弛んだせいかスプーンを落としてしまって、レディ失格よねぇ。
私は、一緒に食事している先生にとりあえず謝ったわ。
ペコリ。
その時拾ってくれたメイドさんの目を、またしても見てしまったら、頭の中には、あの数字が……。
【思考パターン2】
嫉:10%
疑:60%
妬:30%
これは、私を疑っていてザマアされるといいと思っている?
他のメイドさん達もそうなのかな?
そうだよね。お優しい大公公爵様が、可哀想な子を連れて来て、最初は、同情してたかもしれないけど、エリュミラード君と楽しく過ごしているのを見たら、それはそう思うかもしれない。
先生だけじゃなく、メイドさん達と交流しないと駄目だったわ。
それから、ちょうど縫い物の為の糸が沢山届いたから、先生に相談(筆談)して編み紐を作って、お揃いの小さなカゴを編んだの。
多少色がちがったりしたけど、リボンを通したらとても可愛いく出来上がったのよ。
それを皆様に感謝の気持ちとして配ったわ。
勿論、大公公爵様にも、タバコ入れみたいな小さな物を作って渡していただいたのよ。
ちゃんと手紙も添えてね。
そんな感じで、日数もかかったけど、メイドさん達の気持ちが少し変化したようなの。
良かったわ。
そうして、やっと、今夜あの塔に行く事が出来るわ!




