スキル問題
3年が過ぎて、私は、8才になりました。
子供のうちは、警備が厳しくて外にも出られないから、二人で塔で遊んでいました。
それから、優しいレモングラス先生は、帰ってきてくれました。
丁寧に手紙を書いて謝罪をお伝えしたら、笑って下さったの。ムーは、とても嬉しかった。
「最近のミニゲームは、変ね」
「僕は、凄く面白いよ」
15マスのパネルを揃えたり、ネズミを追い詰めて捕獲するシミュレーションだったり……。
スキルも、お母さんのお手伝いから、宿の女将さんにまでなっていた筈が、いつのまにか、兵士見習いになっているの。
これ、どこ方向に向かっているのかな?
そうでした。私には、ペットとして暮らす野望があったから、どうでもいい事ですね。
それよりも、裁縫のスキルを上げて、完全なるムーちゃん着ぐるみを作らなくてはいけないわ。
3年もここに住めば、色々とわかってくるものね。
まず、このお城は、ヴィンディガン城と言って、北の砦と呼ばれているのよ。
幾つもの領主を束ねる、北の総領府という管職なの。
つまり、隣国が侵入しようとしたり、攻めてきたりした時には、指揮をとらなければならないのよ。
私を助けて下さった御仁は、大公公爵様。ただのお爺さんではなかったの、残念だわ。
それから、騎士のエリュミラード君は、大公公爵様のお孫さんなんですって。
いや、詳しく言うと、まず、息子が3人に娘が1人。その娘の長男がエリュミラード君。
他にも、大公公爵様の弟さんも別の領にいて、もう兎に角、子供や親戚が多くて覚えるのが辛いです。
そして、私は、その大公公爵様の養女扱いとなっていて、大変立場が危ういらしいのです。
成る程。
それで、厳重な警備とエリュミラード君にガードをしてもらっているのね。
はらっ! もしかして、私暗殺される?
イッヤー!
いけない。また新たな語録を増やすところでした。
やはり、ムームー言っているのが、身の安全なんだわ。