外の様子
あの炎の勢いで、ムーちゃんの風呂つき五LDKも灰になっていたわ。
こんな離れた場所に建てたから、あの煙りに気づく者もきっといないわね。
ムーはガッカリした。
五日目ぐらいに、レプトらしき人が訪ねて来ていたみたい。
丁度、テナーが監視していたから、連絡つけられなかったわ。
それから、外の世界で十日経った頃には、私もテナーも暗殺者のスキル名がついていたの。
「そろそろ、外に出ませんか?」
ムーの提案にやっと諾の返事をしてくれたのよ。
いったい、どれだけ重要な秘密を知ってしまったのかしら。
呆れながらも、番犬を連れて行く事にしたわ。
残して行くより、外に出して自由にしてあげたいもの。
準備していると、テナーが近づいてきたわ。
「ここは、天上みたいに居心地のいい場所だった」
「能力を修得しなければならないから、ムーは、結構大変だと思うのよ?」
「私には、幸運の女神がついていたからだな」
穏やかに告げられたけど、それがどうしたのかしら?
「テナーには、祝福があるのね。素晴らしいわ」
恨めしそうにムーを見たけど、何だかさっぱりわからなかったわ。
塔の中の物は外に出せないけど、ムーが持ち込んだ物は別よ。
あと、中の物を利用して作った物なら出す事が出来るの。
時間があるから、野菜を育てて、水に味を加えたわ。
水筒を作ってリュックに詰めたわ。
簡単な着替えに、必要な物をできるだけ入れて準備完了よ。
あとは、変装もしたのよ。
ムーは男の子。テナーは、年寄りにしたわ。
多分、これでわからないと思うの。
辺境から逃げて来たおじいさんと孫に見えると思うわ。




