床に落ちていた手紙
テナーがあんまり不安がるから、ムーは、床に落ちていたレプトの手紙を読んだのよ。
それには、ゼラニーが知り合いがいるからと、馬車を手配してくれた事が書いてあったの。
でも、ムーが帰って来ないのでゼラニーを調べたら、ダンデラ商で雇った者でもなく、バルロ伯爵の血縁者だとわかり、ムーの捜索願いを出してくれたみたい。
それから、バルロ伯爵は、領民に襲われて脱出したと書かれていたわ。
成る程、住むところが無くなったから、困っていたのね。
ムー宛てだけど、誰か訪ねて来た人宛てでもある手紙で、レプトは信じられると思ったのよ。
テナーにも読ませたわ。
「今、君が知らせたら、やはり危険な気がするな」
「でも、バルロ伯爵の事を頼まないと……」
「契約を交わさないうちに、お金だけ渡してはいけないと忠告する」
「もう! それなら、どうすればいいの?」
二人で考え込んでしまったわ。
兎に角、塔で暮らすには、ミニゲームと実践をクリアしないと、様々な品物が出て来ないのよ。
二人で、ひたすらこなしたわ。
どうも、今回は、忍者路線みたい。
しばらくすると、ムーは探偵見習いになっていたんですもの。
テナーは、毎日楽しそうなの。
でも、外の事は気になるみたいで、塔の階段の途中に見える窓を覗こうと提案してきたわ。
二人で昇ったら真っ赤に染まった夕日……ではなくて、ムーの迷路の囲いが赤々と燃えているのが見えたわ。
「きゃふ!」
あそこに住んでいたら、火をつけられていたのね!
ムーが震えていると、テナーも悔しそうに窓外を見詰めていたわ。
塔の中では十日経ったけど、外ではまだ二日ぐらいよ。
と、すると、すぐに火をつけた事になるわね。
ムーがそれを話すと、必ず弁償すると言ってくれたわ。
だけど、殺意のある者が相手だとすると、いったいテナーは何をしたの?
秘密でも知ってしまったのかしら?
それで、しばらくの間交代で外を監視しようって、テナーが決めたわ。
外に出て行かなきゃならないのはわかるけど、そろそろ説明してくれてもいいんじゃないかしら。




