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長旅

 それで、結局雇ったわよ。


 随分変わった人で、寝泊まりは馬車でいいって言うの。


 だから、毎回食事を持ってきてあげなきゃならなくて、正直、ムーがメイドみたいだったわ。


 それから少し体力が回復して、ようやく帰途についたのよ。


 それでね、ムーは別に急いでもいないのに、交代で馬車を歩かせたのよ。


 それで、馬が疲れちゃって、後少しのところで野宿なの。


 幸い、行商人と行き合ったから、食べ物を仕入れられて助かったわ。


 「薪を拾ってくる」


 「ええ、お願いね」


 ほとんど会話もなくここまで来たけど、そうか……出来るだけ二人にならないように気を使ってくれたのかもしれないわね。


 野宿なんて、学校のキャンプ以外初めてで、ドキワクしてるのよ。


 ムーは、手早く小型ナイフで野菜の皮を剥き、シチューの材料を揃えておいたわ。


 戻ってきた男(名前をテナーさんって言うの)は、何も言わず、火をおこして鍋吊り台を作ってくれたのよ。


 「凄いわ」


 ムーは感心しながら手早くシチューを作ったわ。


 パンには燻製肉を挟んで、ちょっと豪華な夕食になったのよ。


 「ムーは、教養があって料理も旨いな」


 アメジスト色の瞳は、輝くばかりに美しいけど、無精髭が酷くて年齢がわからないのよね。


 「食べるのは好きですから、料理の腕も磨いてみたの」


 「それから、馬車に花か何か積んでいるかな?」


 急にどうして?


 「何故そんな事を訊くの?」


 「私が臭うから、気にしているかと思ったんだ。ムーの後に乗ると、爽やかで甘い匂いが馬車に残っているからな」


 「きゃふ」


 残り香なんて、何だか嫌だ。


 自分でスンスンして身体を嗅いだわ。


 「あ、これかな?」


 ムーは、首から下げたポプリを出して見せたの。

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