塔のミニゲーム
塔の中のミニゲームは、遊びのようなゲームがあって、それから実践をこなして初めて能力が得られるのよ。
だから、エリュミラード様が身につけたであろう格闘を、ムーも頑張って続けたのよ。
あの時、「まいっか」なんて言うんじゃなかったと後悔したんだから。
でも、まあ助かったから良かったのかな。
あれから、ムーは一人で馬車を走らせて、近くの村にたどり着いたのよ。
そこでは、何だか騒がしくて、誰かが追われているみたい。
ムーは、宿を探してから馬車を預けに行ったの。
特に、馬車置き場がある訳でもなく、馬小屋があったので、その脇に馬から馬車を下ろそうとしたの。
あら、でもムーちゃんたら馬車を取り扱った事がなかったのよ。
モタモタ、モダモダやったけど、出来ん!
にらめっこしていたら、馬小屋の藁の中から、薄汚れた男が出て来てドビックリ!
「貸せ! はずしてやる」
何だか偉そうだわ。
でも、チラッと見えた瞳からは、穏やかな橙色が見てとれたの。
「ありがとう、じゃあお願いします」
場所を代わってはずしてもらい、馬をつないでもらったわ。
「飼い葉と水が必要だ」
そう言われて、急いで宿の人にもらってきたのよ。
男は、馴れた手つきで馬を洗っていたわ。
ムーは近づいて訊いたの。
「こんな所で何をしていたの?」
馬は気持ち良さそうに、脚まで洗ってもらっていた。
「馭者がいないようだが、良かったら私を雇わないか?」
どうやら、答えないつもりらしい。訳有りのようだけど、いい人そうでもある。さて、どうしましょう。
そしたら、突然、グラッと男の体がふらついて驚いてしまったのよ。
「だだだ、大丈夫?」
ムーが慌てて支えたら、何日も食べてないと告白されたわ。
しょうがないから、また宿まで行って、お湯と食べ物をもらってきてあげたのよ。




