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ムーちゃんとして

 助けてくれた御仁は、町外れのこの小屋で器を作って焼いている事がわかったの。


 あれから、御仁は、高いポーションを買ってきてくれて、奇特にも獣の私に使って頭の傷を治してくれました。


 元気になった私は、恩返しに家事を手伝います。


 すると御仁は大変喜んでくれて、捨てられた私を"ムー"と呼んでたいそう可愛いがってくれました。


 よし! この路線で間違ってなかったらしい。


 『ムームー』だけじゃ語録が少ないので、『ムイムイ(否定)』と『ムキュムキュ(肯定)』を入れる事にしましたわ。種族は、ムーチョビ族。




 こんな生活がずっと続くと思っていたら、ある時、御仁を立派な騎士が迎えに来て、あまりの事に「ムヒョッ(詐欺だ)!」の『ムヒョッ』も語録に入れる事になってしまいました。(不本意)


 やれやれ、使い分けられるかな。




 住んでいた屋敷の何10倍も広い城に連れて行かれて、洗われて着替えさせられてしまいました。


 私は、小さな5才児で、向こうは何人ものメイドさんがいて、敵うわけないじゃない!


 「幸運の石だから大切に持っていなさい」


 そう、お母様に言われたモノまで取り上げられてしまって、悲しかった。


 まあ、モノは、円錐形した硬い鉱石なんだけど、手に握っていたのじゃなく、額にくっついていたって、まさか、ツノとか?


 だけど、こんなモノでも、お母様の思い出が詰まっているから。


 それで、軽く地団駄を踏んで抗議したけど、いつものように床は抜けなくて、体が軽い事に気がついたの。


 過酷な環境変化で、すっかり痩せてしまったみたい。


 仕方ない。


 また、居心地のいいペット生活を探そうとして、外に出ようとしたら、警備が厳重で一歩も外に出られなかった。




 そして、それからは、勉強の毎日が始まって……。


 いや、だって、転生してまでなんで?


 「まずは、言葉の勉強からいたしましょう」


 気品ある美しい教師に誘われたが、「ムイムイ(否定)」と首を振って、書き取りから始めてもらいました。





 その後もペット生活を捨てきれずに、読み書きと歴史と教養を教わる日々。


 ある時、ずっと教えてくれていた、レモングラス先生ではなく、別の男の教師がやってきて……。


 あの御仁にお手紙を書いたら、いつまで経っても言葉を覚えない私に、責任を感じて辞職されたと……。


 あの、悲しそうに私を見ていたのは、同情じゃなかったんだとわかって後悔したわ。


 それからの私は、勉強を拒否する事にした。


 そうだ、最初からこうしていれば、いずれ捨てられたかもしれないと気づいて……。


 そう考えた私は、喜んで食っちゃ寝生活を楽しみました。 

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