ロベリアの花
王宮勤めになったエリュミラード様の手紙には、いつも瑠璃色をした小さな花が入っていたの。
手紙を開けると爽やかな香りがしたわ。
そして、手紙を読んだ後に気づくのよ。
同封された可愛い小花達に。
それで、せっかくだから、しおりやドライフラワーにして身につけていたの。
ある時、ダンデラ商の息子のレプトと知り合ったわ。
お互いの持ち物に興味があって、お昼の時に色々話しをしていたら、この花の名前がわかったの。
ロベリアと言うんですって。可愛い小花。
ムーは、領内で売る為の商品部門に回されたから、簡単で売れそうな物を考えたのよ。
それで、ここでは飾り物が売れる事をレプトから聞いて、絞り染めに挑戦してみたわ。
タペストリーなんかを目指したら、ハンカチやタオルのようにして売り出されたみたい。
まあ、商品なんて買った人がどう使おうと自由だものね。
それから、自分専用に手巻き式のメジャーを作って使っていたら、あの、中が見えるソーイング籠とクマの針山と手巻き式のメジャーが、セットになって売り出されたみたい。
二年ぐらいそこで頑張ったわ。
それで、デッセン大公公爵様が、ムーの預金がそれなりに貯まった事を知らせて下さったのよ。
ビックリする程あったのと、十五才の成人を迎えた事とがあって、思い切ってこのお屋敷を出る事に決めたわ。
大棚のレプトの店に、前々から誘われていたから雇ってもらうのよ。
色々と挨拶したりして、手続きはありがたい事に大公公爵様側で済ませて下さったわ。
本当に感謝しかなくて、何度もお礼を伝えて頂いた。
ただ、困った事にあの塔をどうしようかと思って、まあ、幸いムーとエリュミラード様以外見えないから良いのだけれど、でも、あれはお母様との大切な絆だからと、何度も行ってみたの。
それで、丁寧に掃除をしていたら、小屋の壁に使っていないパネルのような物が着いていたのよ。
それは、携帯の様な形をしていて、試しに『suspend』と入力してみたら!
いつの間にかムーは外に出ていて、手のひらにはあの鉱石が載っていたわ。




