リメイク
朝食は、メイドさん達と一緒にとるのは、変わらないわ。
レモングラス先生がいなくなってからは、ずっとそうしていたの。
出来る事はお手伝いしていたし、良い関係を保っていたのよ。
目を見てチェックするのを忘れなければ、意地悪される事もなくて、このスキルがあって本当に助かっているの。
エリュミラード様も、もしかしてこのスキルが有るのかもしれないわね。
皇太子様の近衛騎士と言ったら、超エリートですもの。
本当にムーには、遥か遠い人になってしまった……。
やめやめ。
「さあ、気を引き締めて頑張るのよ!」
お針こさんの部屋は、ムーがいる部屋の上の階にあるの。
裁縫道具を入れる籠はムーのお手製。中が見えるように、一部網状に編んだ物を取り付けてあるの。
針を差す針山は、可愛いクマさんなのよ。
ちょっと浮かれて早く来てしまったわ。
扉の前で待っていたら、目付きの鋭い年配の女性がやってきた。
「あなたが、アデリアさんね。私は、ここの責任者のスノマール。それは、あなたが作ったのかしら?」
じろじろとあちこち値踏みをされて、ムーのお手製のソーイング籠が気になったみたい。
「はい」
恥ずかしいので俯いていたら、「では、入りなさい」
部屋の鍵をあけてくれたので、やっと座る事が出来たのよ。
最初に目が合った時に見えたスノマールさんの思考は、こんな感じだった。
信頼度 ー 灰
貢献度 10 灰
期待度 30 黄
少しは、誰かからムーの事を聞いたのでしょう。
最初だから、こんな物よね。
窓を開けて空気の入れ替えをしていたわ。
それから、五人ぐらいの女性が集まりスノマールさんの指示で、テキパキ仕事が始まったの。
ムーは、引っ掛けて破れた物の繕い物を渡されたわ。
静かな現場なので、糸を切る音や布を裁つ音がやたら大きく聞えてきて、ちょっと緊張してしまった。




