表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/46

鳥がくるくる

 家から出された……。


 出された。


 出された。


 私を、世界一可愛いと言ってくれたお母様はいなくて、お父様に汚いケダモノと言われたの。


 ペコペコしていた門番にまで、何処かに行っちまえって蹴られた……。


 塀を伝って歩いたけど、蹴られた足がジンジンする。それから、お父様に捨てられたことが、悲しくて悲鳴をあげそうなの。


 もう、私は、要らないんだ。


 要らないんだ。


 要らないんだ。




 そうだ、世界一可愛いと言ってくれたお母様を追いかけようか。


 前に、木から落ちた庭師が頭を打って死んでしまった事があった。葉が揺れてるように見えた番犬が吠えたから、驚いて落ちちゃったの。


 それで、私は、すがる様にその硬い塀におもいきり頭をぶつけてみた。


 ガツッ。


 くー~っ、鳥が飛んでいる。


 私の周囲をぐるぐるぐるぐる。







 「ハッ!」


 「あ、イタタタタ」


 右の頭部が酷く痛い。


 痛くて起き上がれない。


 それでも、そーっと目を開けて辺りをみれば、藁を敷いた小屋のようなところに寝かされて、手当てされていた。


 この時、私の名前は、柴尾 さくら 地球人だった事を思い出した。


 リアルなプ~ンと漂うあの臭いで、夢ではなく、自分が転生してここに居る事を実感したわ。






 「大丈夫かね?」


 モジャ髯で、顔のパーツがどこにあるのかわからない御仁が小屋に入ってきた。


 もう、色々な事が面倒だったから、動物として可愛いがられて生きる事にしようと、その時思ったの。


 だから、返事は「ムームー」と、感謝を込めて鳴いたわ。


 「おや? わしは、獣を拾ったのかね? しかし、ムームー鳴く獣なんぞ知らんなあ」


 暫く、何か考えていたようだけど、お水とお薬を飲ませて寝かせてくれました。


 良かった。これからは、このおじいさんのペットになろう。


 「ふわあ~あ」


 薬が効いてきて、私はそのまま寝てしまいました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] なかなか可愛そうな主人公ですね……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ