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強情と説得

 が、淑女の腕に触れるなんて、紳士にあるまじき行為だわ。


 「放して、淑女の秘密を暴こうとするなんて、騎士道精神はどこにいってしまったの?」


 『真っ赤な顔して、瞳を潤ませながら話すムー。なんて、可愛いんだ』


 「僕達は、婚約者になるんだよ。だから、何でも打ち明けて欲しい。ムーの力に必ずなるから、ね?」


 『狡いわ。そんな優しい顔されたら、どんな淑女もほだされてしまうと思うのよ?』


 「ムームー」


 口を尖らせて言ったから、もう少しで触れてしまいそうに……。




 空からは、ミニゲームの終了の音楽が、しっとりと流れていた。






 背を向けて……でも、離れがたくてくっつけてはいるの。


 「そろそろ本当の事を話してくれるかな?」


 何だか、エリュミラード様の語尾が甘い。


 「ん。ムーの本当の名前はね……柴尾さくらって言うのよ」


 「しいば? えっ、今なんて?」


 「だからね、柴尾さくら。それが本名なの」


 聞いたこともない名前で、エリュミラード様が困惑しているのがわかったわ。


 フシシ。


 つい、笑ってしまったら、からかったんだなって、背中を押されてグエッってなってしまったじゃない。


 振り返って、ポカポカ叩いてやったのよ。


 「ムー」


 エリュミラード様に後ろから抱き抱えられてしまって、身動ぎも出来ないの。


 それから、ムーの手を触ったり、しなやかな指で爪をさすられたの。


 「小さいな」


 ですって。


 これはもしかして、ちゃんと話さないと、ずっと続くのかしら?


 「本、本当の名前はさくらなの。アデリア・デ・バルロは仮の名前なの。そ、それで、今はムーちゃんよ」


 「では、やはり、バルロ伯爵様の一人娘なんだね?」


 「ん」


 「ハハッ、良かった。これで堂々と婚約できるよ」


 なんですと?

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