文字通り
文字通り、ぐうすか日向ぼっこしていたら、なにやら騒がしいのです。
また、失踪かと思えば、どうも様子が変ですわ。
レモングラス先生がムーを呼びに来て、衣装替えです。
あれよあれよといううちに、馬車に乗せられてしまいましたのよ。
「今日のご予定でしたのに、いったいどうしてお昼寝など………」
悲しげにレモングラス先生に言われてしまい、罪悪感はあるものの要領を得ない。
先日生まれた語録を使ってみました。
「きゃふ?」
「ふざけている場合ではございませんよ。大公公爵様のお手紙に、記載されておりましたでしょう?」
やってしまいましたわ。
ムーちゃんは、開封すらせずに机の上に飾って置いたままにしておりました。
「ムイムイ」
「まあ。まさかとは思いますが、読んでいらっしゃらないのではありませんよね?」
「ムキュムキュ」
「ああ、ふざけている場合ではありませんと申し上げているでしょう?」
レモングラス先生の困惑した悲しげなお顔は、大人の女性の悩ましい色っぽさがあって、ムーは見とれてしまったのよ。
「聴いておられますか?」
あ! 目が合ってしまった……。
信頼度 80
貢献度 0
期待度 20
レモングラス先生がとても親身である事が知れて、ムーは凄く嬉しくなって、先生の両手を握ったのよ。
先生は、ピクッって反応してから、しょうがないわねと、マリア様のような微笑みを向けられたの。
まるで、お母様みたいだったわ。
「いいですか。良く聴いて下さい。貴女様の身元がわかり、今日これからご両親にお会いするのですよ。良かったですわね」
死への行進ですか?
「ヒョーーォ!」
しまった! また新しい語録が……いやいや、この際、新しい語録などどうでもいい! あんなところには戻りたくない!
必殺、ムーちゃん駄々こね攻撃!
暴れに暴れて、これでは……となって漸く引き返してもらえました。
これは、今度は、私が失踪する番なんだわ!




