洗礼式での勝負
エリュミラード様とすれ違う日々がまた始まったの。
そんな時、ムーの八才の洗礼式の日がきたのよ。
ビックリするぐらい素敵なレモン色の衣装に着替えて、仲良くなったメイドさん達の努力もあって、なんとか見劣りしない仕上がりにしてもらいました。
「良くお似合いですよ」
付き添って下さるレモングラス先生が褒めて下さったわ。
ちょっと嬉しい。
「あとは……」
まだ、レモングラス先生は諦めていらっしゃらないのね。
笑顔を向ければ、困ったように苦笑されたわ。
毎年、貴族の洗礼式は、大公公爵様の大ホールで行われるから、移動が楽で助かりました。
先生と分かれてホールに進めば、肩にぶつかる令嬢がいて目が合ってしまったのよ。
【思考パターン2】
嫉:60%
疑:10%
妬:30%
白いリボンをした美少女で、どちらのご令嬢なのか? 羨まれる覚えがまったくないムーは、解釈にとても苦労したの。
もしかして、レモングラス先生の教え子さんかしら?
大公公爵様のお孫さんは、エリュミラード様が最後だし……。
うーん。
神官様の洗礼を受けたあとは、立食とダンスがあるのよ。
ムーは、甘い物を食べたかったのだけれど、次々にダンスに誘われてもうヘトヘトなの。
白いリボンのご令嬢もずっと一緒に踊っていたわ。
ムーは、隙をみて早々にバルコニーに逃げたのよ。
そしたら、いつの間にか隣に白いリボンのご令嬢がいて、とても驚いたわ。
「私、ユリアナ・ブロンクス、ブロンクス伯爵の一人娘ですの」
これはご丁寧に。と礼をする。
「まあ、名乗りもしないで傲慢ですこと。丁度良いわ。私、あなたに決闘を申し込もうと思います」
「ムイムイ(否定)」
「まあ、何ですの? その馬鹿にしたような声は。見ていなさい、あなたの事をぐうの音も出ないようにして差し上げますから」
いえ、お断りの返事をしたのだけれど……。
困ったムーは、ジリジリ下がりそのまま逃走したわ。
「まあ、待ちなさい!」
すると、果敢にも追いかけてこられて、ご令嬢と二人、ホール内を走り回る羽目になってしまったのよ。




