身についた能力
僕は、あの不思議な塔の中で過ごしているうちに、沢山の事を学んだ。
まず、ムーと一緒に料理の腕が上がった。
それによって、成分分析の能力がみについたようなんだ。
ある日、学園の行事で野外訓練というものがあり、グループで何日か森で過ごした時のこと、僕の舌が食料調達で大変役に立ったのだ。
何しろ、お坊っちゃんばかりで、毒の有り無しもわからないし、ましてや調理など出来るはずもない。
それだから、先生の手を煩わせなかった優秀な班になる事が出来たんだ。
それから、ムーも言ってたが、相手の目を見れば数値が浮かぶ上に、色つきの帯までついてくるようになった。
先程、チラリとしか見えなかったお祖父様の思考も浮かんでいる。
信頼度 35 橙
貢献度 5 水
期待度 60 白
まだ子供だから、お祖父様の中での評価は低いけれど、温かい愛情を感じたな。
やはり、実績を上げなければならないか。
「お前が、野外訓練で優秀であった事は聞いている」
お祖父様はそう言われた。
「だから、今度の縁談は、お前の為を思い考えたものだ。知っての通り、正統な跡継ぎは沢山いる。長子であっても、お前は入り婿しかないのだぞ? それを断るのだから、自信で上り詰めると思うて良いのだな?」
「はい。必ず身をたてますから見ていて下さい、お祖父様」
「ふおっふおっ、孫の中では、ピエナの孫のお前が一番可愛いのだ。期待を裏切るなよ」
「はい」
こうして、猶予をもぎ取ることは出来た。後は、努力あるのみだ。




