表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/46

新しい語録

 深夜遅くまで明かりをつけていたけれど、今夜は早く消して仮眠してから抜け出したわ。


 この為に、梯子を出しっぱなしにさせておいたのよ。


 ふふっ、ムーちゃんは唯のデブ、あ、もう痩せたんだったわ。


 カササササと素早いカニ動きで壁に張り付き、続いてバルコニーの壁にペタッと取り付いた。


 「こんな夜中に何しているの?」


 「きゃふ」


 あー~! 新しい語録が生まれちゃったわ。


 私は悲しい顔で振り向いたのよ。塔の中に隠れていた王子様にね。




 兎に角、また二人で塔に戻ったわ。


 話しも出来ないし、誰かに見つかったら大変だもの。


 「酷いなあ、僕はずっと隠れて待っていたのに、ムーはぜんぜん会いにきてくれないのだから」


 あれ? しばらく会わない間に、そばかすが消えて可愛いらしくなったかしら? 


 「どうしたの、顔に何かついている?」


 「ううん、顔忘れちゃってたわ」


 「ハハッ、酷いなあ」


 「それで、エリュミラード様は、どうして塔に隠れているの?」


 「様……それは、お祖父様が僕に……」


 「ん?」


 顔のすぐ下から覗きこめば、慌てるエリュミラード君。


 「大公公爵様に何か言われて、逃げてきたの?」


 「別に怒られた訳じゃなくて」


 「それじゃあ、どうしたの?」


 『さっきから、雛鳥みたいに小首を傾げたりして、癖のある前髪が跳ねて、可愛いいったらないなあ』


 エリュミラードは、久しぶりにムーと過ごせて気分が上がった。


 ニコニコして、それ以上話す気がないようね。


 「ムーね、最近変なの。あのね、こうやって目を合わせると、その相手の考えている事が数値化されるのよ」


 無邪気にオデコをくっつけられ、瞳を覗かれたエリュミラードは、後ろにひっくり返った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ