帝国
この作品は私の処女作です。
構成やテンポなどいたらぬ点が多数あります。
また、慣れぬ事とは言え、色々不都合があるやもしれませんが、出来うる限り誠実に対応していきますので、暖かい目で見てください。
神聖標準歴215年 夏
昨日からの嵐も去り、さんざん降っていた雨も今は止んだが、まだ空はどんより曇り、時折強い風も吹いていた。
荒廃した帝都で、タロー ドゥラスノ伯爵が彼を支持する民衆を前に高らかに宣言した。
『祖国の安寧のため、このタロー ドゥラスノが今は亡きネロストロング・ゴット皇帝に変わり、ここに帝国を建国することを宣言する。』
まさに神聖ドゥラスノ帝国が建国された瞬間である。
その後、帝国は幾多の困難を乗り越え発展をしてきた。しかし、決してその道のりは順調と言えず、初代皇帝タローが望んだ安寧とは程遠いものであった。
ちょうど建国宣言の時の天候が帝国の未来を暗示したかのようであった。
帝国を悩ます元凶は戦争である。
建国後数代は賢帝が続き順調に、安寧に帝国は発展してきたが、今からおよそ50年前に、帝国とほぼ同時期に南のローラシア大陸に移住した人々によって建国されたローラシア民主共和国との間に軋轢が生まれ、すぐに戦争するまでに関係がこじれてしまい、現在に至るまで続いている。
半世紀にわたり戦争は続き、今は、双方とも決定力不足により、膠着した状態がかれこれ20年あまりに渡り続いている。
この間、主な戦場は、帝国のあるパンゲア大陸とローラシア大陸とを結ぶ「希望の回廊」と呼ばれる両大陸をつなぐ細くなった場所(陸上戦闘)か、両大陸を挟む海洋(海戦)、そして、両大陸の間にあるゴンドワナ大陸(陸上戦闘)であり、延々と戦い続けてきた。
戦争が始まってから50年の間、休戦はおろか停戦すらできないのは、両国の政治体制が大きく異なり、お互いに認めることができないためであった。
帝国は、共和国が民主共和国といいながら、その実、大統領による「恐怖独裁政治」体制であることを、受け入れることができずにいた。
一方、共和国は、その建国が前帝国の皇帝による悪政のため起きた国内の動乱を避け、この地に逃げてきた民衆により行われた。
そのため、共和国としては、帝政そのものを受け入れることができなかった。
共和国は60年前から大統領一族の独裁制が始まり現在まで続いており、帝国は貴族と民衆とが比較的穏やかに皇帝を中心に政治を進めてきた。
しかし、帝国の政治の中心は貴族が握りいわば貴族政治に民衆がよく協力している状態が建国から続いてきた。
両国の民衆から見てみると、現状としては帝国の方が比較的自由があり、共和国の民衆としては皮肉な結果となっている。
そのためかどうかはしれないが、共和国側の帝国に対する憎悪は相当なものがあり、特に貴族に対しては、まるで親の敵にでも対するがごとくである。
どちらにしても、両国民にとって、終わりの見えない戦争は、苦痛でしかなく、未来に対して希望が全く見えない。
そんな両国民にとってあえて希望を見出そうとするならば、その手段は唯一、軍に入り栄達することでしか達成できない。
そのことが、この不毛の戦争を長引かせ、悽惨で残酷なものとしていった。
人々は解ってはいるのである。
解ってはいるが、どうしようもない『人の業』を諦めつつ受け入れて、待っているのである。
奇跡が起こるのを
戦争を止めることのできる英雄の出現を
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よろしくお願いします。
~追伸~
春になって、新しいことを始めたくなり、前から内政チートものを書いてみたかったので、新しく連載を始めました。
こちらと同様に不定期連載です。
多分こちらほどには投稿できないとは思いますが、よろしかったらお楽しみください。
新連載のタイトルは「名も無き民の戦国時代~現代知識を使って内政チートで数ある戦国英雄に無双する~」https://ncode.syosetu.com/n6846er/ です。
タイトル見てお分かりの様に、戦国時代に転生した主人公「孫空」の現代知識を使っての内政チートものです。
こちらの作品もお楽しみいただけたら幸いです。




