表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/338

調査隊 現場に

「へ~、結構スピード出ていない?

 来る時とは随分違うのだな」


「轍も残っていますし、一度通ったとこなので、まだまだスピード出せますよ。

 バイクなら、今の倍は軽く出せますよ」


「それなら、バイクに連絡して、無理のないスピードで、周りの警戒はいいから、先行して目的地に向かって、現状の確認をしてもらって」


「無線連絡しました」


 車の周りを警戒していたバイクの2台がこちらに向かって手を振ってから、スピードを上げた。


 思わず、俺も手を振り返したら、周りから『ジト目』を返してもらった。


 振っている手の所在がないので、頭を掻きながら

「本当に、えらい違いだ。三日、移動の正味は二日かかったが、あの二日はなんだったのだろう。

 この分なら後3~4時間で着きそうだな」


「そうですね。

 でも、ルートが分かっている場合には、よくあることですよ。

 自動車に乗っていることもありますし、割とすぐに着きますね」


「時間距離って、簡単に変わるのだな。

 ルートさえわかればジャングル走破って簡単にできるのかも」


「そんなに簡単にジャングルを移動できたら、苦労はしませんね」


 と、車を運転しているメーリカと軽口を叩いていたら、今まで機嫌悪そうにだんまりをしていたアプリコットが急に『ハッ』とした表情をして、

「同じことが敵にも云えますよね」


 それを聞いたメーリカも、何かを悟ったように

「あの現場まで知られていることはないだろうけど、近くまで知られていたら

 以前少尉がおっしゃっていたように、敵もあそこに来ているかもしれませんね。

 事件から4日はたっていますし、敵との遭遇に注意を払う必要がありますね」


 ここまで聞いて、やっと彼女たちが言っている意味を理解した俺は、後ろに控えている無線担当に

「先行のバイクに連絡して。索敵に十分注意して、もし、敵の気配を感じたら無理せずにすぐに引き返してもらって。

 安全第一でお願いします」


「バイクから了解をもらいました」


「こちらも、十分に注意しましょう。屋根の上で警戒してもらっている隊員もわかった?」


 一連のやり取りを横で聞いていたメーリカの顔がにやけてきた。

 今までについた上司は、全て自分の功績向上のために無理な命令はしてきても、一回も彼女たちを気遣う命令はしてもらえなかった。

 しかし、今度の上司は、出会ってから出される命令やお願い??がおよそ軍人の出すものと違って戸惑いはしたが、ほとんどすべて、彼女たちを気遣い、安全に配慮したものだった。

 そもそも、部下に対して『お願い』など軍ではあり得なかったのだが、蒼草少尉は命令よりもお願いの方が多かったので、なんだか嬉しくなってきたのであった。


「「了解」」

 と外に出ている部下からも返事をもらった。


「レイラ中佐にも連絡を入れておきます」

 と、アプリコットが提案してきたので、その場で了解した。


 暫くすると、この調査隊を率いているレイラ中佐から、『先行して敵の存在を確認せよ』という命令を受けた。


 メーリカが言うにはまだ、速度を上げられるそうなので、先行しているバイクに少しでも追いつけるように、安全が確保できる限界までスピードを上げてもらった。

 時速50kmくらいまでは出せているようだ。

 その代わり、車内はミキサー状態で、会話もままならない位揺れている。

 もし、ここでリバースしようものなら、彼女らに何をされるか分からないので注意しよう。


 そうこうしているうちに、川原に出た。

 川原では、もう少し、速度を上げられるので、限界まで速度を上げた。


「後1時間もしないうちに着きます」

 とメーリカが報告してきた。


 先行のバイクからは「現着した」との無線連絡を受けたので、すぐに無線のマイクを取って、

「さっきもお願いしたけれど、少しでも危ないと感じたら、こちらに戻ってきてね。

 勝手に、深入りして調査などしないで。わかった?

 くれぐれも『安全第一』でお願いしますよ。

 この『安全第一』は、命令だからね」


「少尉、そんな命令などありません」

 と、呆れ顔のアプリコットが言ってきた。

 けれど、顔が笑っている。

 さっきまでの不機嫌顔はなくなっているので、嬉しくなってきた。

 このまま、何もなければいいのだけれど。

 これ、フラグではないからね。絶対フラグなどではないから、何も起きないと強く自分に言い聞かせた。


 くだらないことを考えていると、見覚えのあるところまで来ていた。


「もう少しでつきますよ。

 バイクからは何か言ってきた?」

 とメーリカが無線担当に聞いてきた。


「敵の気配は全く感じません。

 2日前のままだそうです。

 このまま、墜落現場まで行くそうです」


「了解」


 安心して、進めることに安堵した。



 現着して、付近の警戒を手分けして行っていると、レイラ旗下のバイクが数台到着して、現場を確認し、レイラ中佐に無線連絡を入れた後、本隊を迎えるべく半数が引き返して行った。


 残りは、協力して、現場の警戒に当たった。


 2時間ばかりした後、本隊が到着した。

 到着後すぐにレイラ中佐はトラックから降り、こちらに向かってきた。


「アプリコット准尉、あなたの言うとおり、警戒は必要ね。

 付近の警戒は連れてきたバイクにやらせるとして、少しでも早く敵を捉えたいので、あなた方で、上流の探索をお願いね」


 と言って、蒼草率いる隊員たちを見た。


「ん~」といって、レイラは少し考え、

「ジーナ准尉、部下を連れて、ここまで来てちょうだい」


 ジーナは部下3人を連れてレイラの元に出頭した。

 彼女はここで初めてアプリコットと再会した。

 彼女の同期は既に会話を交わしていたが、ジーナだけはめぐり合わせが悪く、今まで、アプリコットとあっていなかったので、彼女を見つけたジーナは大きく驚き、かつ、再会を喜んだ。


「ジーナ准尉、あなたのチームはそのまま、蒼草少尉の小隊に合流して、彼の指示に従ってください」

「了解しました。これより、私の率いるチームは蒼草少尉の小隊に合流します」


「蒼草少尉、彼女たちを入れ、これより上流の索敵を命じます。

 期間は1週間、我々本体と別れ、上流を索敵してきてください。

 期間後1両日中に基地に帰還することを命じます。

 定期連絡は、規定通りにお願いします」


 いつものごとく、アプリコット准尉が

「蒼草率いる小隊はジーナのチームを合流させ、直ちに索敵調査に向かいます」

 といって、すかさず敬礼をした。


 それを見て、慌てて彼女の真似をしたのは、恒例となってきた。


 それら一連の流れを見て、レイラは呆れ顔だが、何も言わず、諦めていたようだった。










ここまでお読みいただきありがとうございます

感想、評価、ブックマークを頂けたら幸いです


また、誤字脱字、不適切表現などありましたらご指摘ください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ