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保護女性たちの仕事

 保護した女性たちは6名を除き12名は兵士とはなっているが基本技術者であった。

 最初は自分たちの住む場所の内装工事などの仕事をしてもらっていたが、割と器用なので3日もあれば部屋は綺麗に完成した。


 そうなると次の仕事を割り振らなければならない。

 しかし俺は仕事の割り振りには困っていない。

 彼女たちのほとんどが技術者、それも測量などの地図作りの専門家だ。

 ちょうどこのあたりの地形の調査は簡単にしか出来ていない。


 少なくともこの居留周辺だけでもきちんとした地図を作っておきたかった俺は彼女たちを3つのグループに分け、手分けして付近の地図を作る仕事をしてもらった。




 地図を作る彼女たちはプロの仕事をしていくだろうから、これは新兵たちのジャングル内活動の訓練かもしれないとは思った。


 アンリ技術少尉にはすみませんねとは話しており、俺らの新兵たちの面倒も見てもらった。

 この話を聞いたアプリコットがかなりマジな顔をしながら俺に文句を言ってきたのだが、保護者の護衛ならばこのレベルでも問題ないだろうとこちらのアンリ外交官は二つ返事で了承してくれたし、メーリカさんに至っては笑いながら隊長らしいねと俺の案に賛意を示してくれた。


 アプリコットは最後までブツブツ言っていたのだが、最後には1つのグループに彼女自身もついていってしまった。

「自分で状況を確かめます」

 とかなんとか言っていた。


 残った俺らはいつもの通りの仕事をさせた。

 建物を造る奴、水道工事をする奴、開墾作業をする奴などだ。

 ここで今までにない作業として切り倒した木を使って作った杭を材料に居留地の周りを囲む壁を作り出した。


 昔の映画などでよくある砦の様子を思い出してもらうと良いだろう。

 周りに杭を打ち付けていき杭で作った壁を作っていくのだ。

 幸い木には困らないジャングルにいるので、必要なのはとにかく工数。


 2km四方の居留地を囲むにはとにかく手がかかるが、ま~中隊規模の人間がいるのでどうにかなるとは思っている。


 一週間かけて500m位の壁は作れている。

 開墾の方も遅々としてはいるがこちらも問題なく進んでいると言えるだろう。

 居留地を壁で囲む都合上、開墾の方法が変則的になって、2km四方の道を造るように壁を作る場所の確保を先行させているので中央部には全く手が入っていない。


 なので営舎を作っている場所から一番遠いところを作業中だと連絡するにもバイクを走らせるなど手間がかかる上に、戻るのに下手をすると1時間を有する場合もある。


 それに俺は最前線とも言えるジャングルの先端で開墾することが多く、それがアプリコットを始めうちの真面目な幹部たちには気に入らないようだ。

 俺に会う度に文句を言ってくる。

 メーリカさんは俺と一緒にいることが多くいつも笑っているが、そのメーリカさんもドミニクを始め元の彼女に部下からお小言をもらっているのだから、俺らの行動を止められるかもしれない危険があるかもな。


 それでいてアプリコットの方は時間が許す限り保護した女性たちの地図作りに付いて行く。


 最初は色々なリスクを嫌っての行動だったようだが、今では友情のようなものを感じているのかもしれない。

 夜の自由時間にもジーナたちを交えてよく一緒にいることを見かける。


 仲良くなる分には悪いことなどひとつもないので、これからもどんどん交流を進めてもらいたい。


 少し俺らが謹慎生活?を初めて時間が経ってから、変化があった。

 以前から連隊基地の周辺の簡易測量としてうちから専門家をサカイ連隊長に貸出していたのだが、俺らが居留地周辺の地図作りに着手したことがどこからかバレたようで、しきりに羨ましいと俺に会うたびに連呼してきていたのだ。

 俺がサカイ連隊長の攻撃に負けて保護している彼女たちを使いますかと聞いてしまった。


 当然サカイ連隊長は二つ返事で連隊から護衛と送迎付きで使わせてとなり、3つあるグループをローテーションで2つまで貸し出すことになり、今ではこの周辺で活動しているのは以前の1/3だけになった。


 送迎付きなので夜にはきちんと戻されるので彼女たちにも不満は出ていない。

 むしろ役に立っていることを非常に喜んでいた。



 身分が不安定なことをまだ恐れているようだとは思うが、こればかりは俺にはどうしようもない。


 サカイ連隊長と連名でこの基地内においての貢献度を師団本部に送るくらいしかできないが、これはきちんとやっていく。


 ま~一日ごとに時間がすぎれば過ぎるほど彼女たちは俺らに溶け込んでいくのがわかるので、アンリ外交官もかなり喜んでいる。


 今のような状況で俺はひとつだけ恐れていることがある。

 サクラ閣下は、とにかくめんどくさい案件を必ず俺に回してきているのだ。

 このまま帝国に彼女たちが受け入れられるようならば俺の隊に組み入れてきそうだということだ。


 今と変わらないじゃないかって、全然違うよ。

 今の俺らは謹慎生活中だ。

 本来ならばまたジャングル内での任務が絶対に下される。

 それに俺はポロンさんにも約束したが、サリーちゃんのお姉さんを探すことも始めるのだ。

 その際に連れて行くことになると………考えることをやめよう。

 頭が痛くなる。


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