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サクラの悲鳴

 表現など十分に注意しておりますが、誤字・脱字・言い回しのおかしな箇所があれば、ご指摘お願いします。

 また、面白いとお感じになれば感想や評価をいただけましたら励みにもなりますのでよろしくお願いします

 朝からサクラ旅団の司令部は忙しかった。

 今までもサクラ旅団長は、お偉いさんの対応について経験があった。

 軍の高官はともかく、サクラ大佐の出身が近衛であるため帝国のほかの組織、特に王室関係の高官の対応にも経験はあったが、それらの段取りは近衛の専門家がつけてくれており、サクラ大佐はその段取りに則っていれば良かったが、本日は自分たちで段取りをつけなければならず、経験者がサクラの他数人だけで、他は未経験なのも司令部を余計に忙しくしている原因だった。


 すでにレイラは、部下数人を連れて第27場外発着場に出迎えに行っていた。

 もう時間がない。

 サクラは相当イライラしていたところだったが、そこに無線通信文を持った兵士がサクラのところまでやってきた。

 兵士はビクビクしながらサクラ旅団長に通信文を何も言わずに手渡した。

 なぜなら、サクラは傍から見ても相当イライラしているのがわかったが、持ってきた通信文の発信元が悪かった。

 機嫌の良いときに持ってきても通信文を読んで直ぐに眉間にしわを寄せ機嫌が悪くなるのが分かっているだけに、今日のように初めから近寄りたくない時には、余計に渡したくないものだった。

 流石にサクラは機嫌が悪くても部下に当り散らすことはなかったが、それだけに威圧感がすごい。


「旅団長、鎮守府に出迎えに出ている蒼草少尉からの通信です。

 緊急事項はありません」

 通信文を持ってきた兵士は、最低限の伝えるべくことを伝え、逃げるようにこの場を去っていった。


 サクラは、通信文を受け取り、内容を確認して、絶叫した。

 周りに居た幕僚たちは今まで忙しく走り回っていたが、その絶叫で、その場にフリーズした。

 サカキ中佐が、落ち着いてサクラに諭すように声をかけた。

「司令官が急に叫ぶものではない。

 どうしたんだ?何があった?お嬢」

「何がじゃありませんよ。

 聞いてください。

 あいつまた何かしでかしたんだわ。

 じゃないと、予定にないゴードン閣下をここに連れてくるわけないじゃないですか。

 この基地にもうすぐ海軍の副鎮守府長のゴードン閣下が来るそうです。

 すでに車に乗ってここへ向かってます。

 絶対に、あいつが原因ですよ。

 もう、いい加減に助けてください、おじ様」

「なになに、あのあんちゃんが何かしでかしたかどうかわからないじゃないか。

 どうせ、また感謝状の時とそうは変わらんよ。

 そのまま出迎えればいいんだ。

 この件は俺が預かるから、お嬢は落ち着いて、元老院さんたちの出迎えに備えてくれ」

「ありがとうございます、おじ様。

 そうします。

 何かわかったらお知らせください」

「あ~、わかったよ。

 お嬢は、なぜかあのあんちゃんと相性が悪いようだから、直ぐに大げさに捉えるんだよ。

 大丈夫だ、大したことはないよ。

 とりあえず、隣の会議室を使わせてもらうよ」

「解りました。

 私たちは旅団長室を使いますので、何かあれば直ぐに知らせてください」


 ただでさえ忙しかった司令部は、又しても一通の通信文で空回りをしてしまったため、更に忙しくなってしまった。

 バタバタしていると、基地の守備についている兵士が、レイラ中佐たちが戻ってきたことを伝えてきた。


 その頃、基地に向かう蒼草を乗せた車の中は、全員が緊張していた。

 何これ、新手のいじめなの?ありえないでしょう。

 こんな敵から鹵獲した中古車に閣下を乗せて基地まで連れて行くのってありなの?

 みろ、アプリコットやジーナなんか顔色を青くしているぞ。

 とりあえず、会話のなかった車の中で、気分をほぐす意味で、俺はジーナに声をかけた。

「ジーナさん、基地には連絡を入れてくれた?

 連絡を入れずに閣下を連れて行ったら、本気で旅団長は俺を営倉に入れかねないからね」

 アプリコットがどうにか復帰したようで、

「少尉、それ洒落になりませんよ」

「蒼草少尉、先程定時連絡を基地に入れました。

 受けていた通信兵の悲鳴が聞こえましたが、きちんと伝わったと思います」

「それについて、基地から何か言ってきたのかな?」

「いえ、何もありません」

「閣下、すみません。

 基地に着いても、少しお待たせすることになるかもしれません」

「何構わんよ。俺のほうがかなり無理を言っているのはわかっているんだから、あとで、俺の方からサクラ大佐に謝っておくよ。

 少尉には苦労をかけてすまん」

「いえ、恐縮です。

 謝罪はいりませんので、大丈夫です」

 少しづつ車内の空気が和らいできたところで、通信担当が、閣下に報告を上げた。

「閣下、鎮守府から連絡が入りました。

 予定を変更して、準備が出来次第、鎮守府長が帝都に向かわれるそうです。

 こっちは打ち合わせ通りで、何も変更はないそうです。

 返信も不要とのことです」

「わかった、ありがとう」

 鎮守府の方も昨日からかなり慌ただしくなっている。

 どうなるんだか。この先、とりあえず俺の方にとばっちりが来なければそれでいいんだが、今までの経験上、ろくな仕事が回ってこないだろうな。

 ひどくなる時には、だいたいいつもこんな感じだ。

 覚悟しておこう。

 流石に閣下の前でみんなに言うわけにもいかないだろうけれど、後で全員に覚悟を決めろと言っておこう。


 車はもうじき基地につきそうだった。

 ここまでお読みいただきありがとうございます

 感想、評価、ブックマークを頂けたら幸いです

 また、誤字脱字、不適切表現などありましたらご指摘ください。

 作文する上で、参考になりますし、何より励みになります。

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