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時ノ糸~絆~  作者: 汐野悠翔
第1幕 京編
17/136

昔話


     ・


     ・


     ・




――『忠平、私がなしえなかった事をお前に託そう。この京を、人々が罪を犯す事のない平和な都へと導いてやってくれ』――

 

夢を見た。

懐かしい夢。

あれは遠い遠い昔の記憶。

師とも仰いでいた大切な友人と、最後に交わした約束。



「忠平様………」

「……………」


千紗の誘拐騒動に慌ただしかった一日がやっと終わりを迎えようかと言う深夜の藤原屋敷。

多くの者が寝静まる中、館の主である忠平だけは床に入る事はせず、部屋に明かりを灯したまま文机へと向かい何か物書きをしていた様子。

だが、流石に疲れていたのだろう。うとうとと、浅い眠りの中見た懐かしい夢。その夢の途中、掛けられた声に忠平は目を覚ました。

少しぼーっとする視線を泳がせ声の主を探すと、御簾の向こうでこうべを垂れている者の姿が視界に映った。



「…………小次郎」



来るだろうと思っていたのか、突然の来訪者である小次郎の姿に、然ほど驚いた様子はなく忠平は彼の名を呼んだ。

そして彼の返事も待たずに静かな声で言葉を続けた。



「やはり行くのか?」


「……」



小次郎はまだ、何も口にはしていないと言うのに、忠平から訪ねられた言葉に一瞬驚いた表情を見せながら、苦笑混じりに答える。



「忠平様には俺の行動なんて全てお見通しのようですね。はい、俺は一度故郷に戻ろうと思います。四郎から聞いた故郷の様子、俺は父と伯父達の争いを止めに行かなければ……」


「お主ならそう言うだろうと思っておった。だからこそ、こうして待っておったのだ」


「……忠平様」


「お主がここに来て早11年か。本当によく仕えてくれたな。あの我が儘娘も見放さず世話を焼いてくれて、お主には本当に感謝しておるぞ」


「勿体なきお言葉。俺の方こそこんな世間知らずの田舎者を気にかけて下さった事、いくら感謝してもしたりない程です」


「田舎者か、ははは懐かしいな。京へ上ったばかりのお主は、まだ12、3歳の子供で、人目も気にせず往来で貴族相手に大喧嘩しておった」



くっくっと喉を鳴らしながら笑う忠平に、みるみる顔が赤く染まって行く小次郎。



「あ、あの時は……今思いだしてもお恥ずかしい」


「何も恥じる事などなかろう。あの時のお主は正しき事をしたのだからな」



会話の中、不意に立ち上がった忠平は二人の間を隔てていた御簾を上げると、何の予告もなく小次郎の前に姿を現した。

そして小次郎のいる庭先まで歩みを進めると、縁側にどかっと腰を下ろし、夜空に浮かぶ満点の星空を見上げながら、忠平は懐かしそうに従者である小次郎との昔話に華を咲かせた。





***




――小次郎と忠平の出会い。

それは遡る事11年も昔の話。


当時小次郎はまだまだ幼い12歳の子供で、一族の言いつけにより位を得る為坂東から一人京へと上って来たばかりだった。

父の言いつけに従い、この頃京に上ったばかりの小次郎がこの時精力的に取り組んでいた事は、自身が忠義を尽くすに値する主探し。

幼い小次郎は何軒も何軒もの貴族の屋敷を訪ね歩き、奉公先を探し歩いた。

だが、1ヶ月経っても、2ヶ月経っても、小次郎が仕えたいと思える貴族と出会える事はなかった。



それと言うのも、貴族の家を訪ね歩けば歩く程、彼等の強欲さにうんざりさせられていたから――






「お主、この屋敷に仕えたいと申すのなら、それなりの礼儀と言うものがあるのではないか?」


「……と、申されますと?」


「我が屋敷の主、御館様に何か()()があるのではないかと申しておるのだ」


「……はぁ」



土産とは、いわば貢ぎ物の事。

貴族の屋敷を訪ねる度に彼等から掛けられる言葉は決まってこれだった。

主従の関係を築きたいのなら、彼等はさも当たり前のように賄賂を寄こせと言うのだ。

今でも十分贅沢な暮らしをしている彼等の更なる贅沢の為だけに、何故厳しい税の徴収を強いられ貧しい暮らしを余儀なくされている坂東の地から更なる貢ぎ物を差し出さなければならないのだろうか?

彼等の要求に納得のいかなかった小次郎は、己の心に従い、決して己の正義を曲げる事はしなかった。

臆する事無く彼等に意見し続けた。



「土産と称して賄賂を要求してくる、貴族様とは欲深い生き物なのですね。そんな方にお仕えする自信など私にはございません。謹んでこちらから辞退させて頂きます」


「お……お主っ、御館様に何たる無礼を!話を聞く機会を設けても良いと言って下さっているだけでも有り難い事だと言うのに、お前ごとき田舎者が御館様の好意を無下にする気か?!」


「申し訳ございません。何分()()()なもので」



そんなやり取りを繰り返し、小次郎は何人の貴族を怒らせた。

怒らせ続けた結果、ついには小次郎に会ってくれる貴族さえもいなくなり、主を見つける事の出来ないまま時間だけが過ぎて行った。

その間、京へ上った当初の目的さえも忘れて、何度坂東へ帰ろうかと思ったことか……。

だが、ある事がきっかけで勘当同然に坂東の地を追い出された当時の小次郎には、何の成果もないままに帰る事など出来るわけもなく、どこにも行き場を失いかけ途方にくれていた時、ついに小次郎は忠平との運命的な出会いを果たしたのだ。






小次郎と忠平との出会い。

きっかけは、小次郎が偶然居合わせた貴族と薄汚れた格好をした老婆との諍いの仲介に入ったこと。


諍いの原因は、本当に些細な事だった。

目の見えぬ老婆が、思いもよらず貴族の乗る牛車の前に飛び出して、牛車の行く手を塞いでしまったのだ。

それは偶然の事故によるもので、老婆は決して態とした事ではなかった。

それでも自分がしでかしてしまった事を何度も謝り、老婆は必死に道を譲ろとしていた。

けれども目が見えず、体も劣えているせいか、なかなか立ち上がる事が出来ず、思うようにその場から動く事が出来ずにいたのだ。


きっかけはただこれだけ。

ただ、これだけの事だったのに――


なかなか退かぬその老婆に痺れを切らした貴族は、「退かぬと言うなら跳ね飛ばしてでも牛車を先へ進めるように」と、何の躊躇いもなく従者に命じたのだ。


その場には、悲鳴にも近いざわめきが起こっていた。

だが、貴族に意見する事が怖いのか、誰も老婆を助けようとする者はいなかった。

ただ一人、小次郎だけが貴族の乗る牛車の前に飛び出し、身を呈して老婆を庇い、貴族の過ちを説いた。



「おやめ下さい!この者は、悪意があって道を塞いでいるわけではございません。ただ、体が不自由であるが故に、上手く動く事ができないだけなのです。それを、非道にも跳ね飛ばせとは……とても民の為、国を治める貴族様のする事とは思えません。どうか、今暫くお待ち頂けないでしょうか?」



だが小次郎の勇気あるこの行動は、ただ貴族を怒らせる行為でしかなかった。



「ええい、貴様っ!一体何のつもりだ?!御館様の牛車の前に立ちはだかり、侮辱の言葉を吐くなど、このお方を近衛中将このえちゅううじょうであらせられる藤原芳正ふじわらのよしまさ様と知っての狼藉か?!」


「位など関係ありません。これは人の世を生きる者としての道徳の問題。このまま牛車を進めればどうなるかなど、容易にお分かりになるでしょう?それなのに何故お止まりにならない!」


「構わず進めと、芳正様よりの命だ。全てはその者が芳正様の行く手を塞ぎ、邪魔をしている、その事が悪いのであろう!」


「この牛車に乗っておられます貴族様は、邪魔だと言う理由だけで人の命を殺める、そんな心の狭いお方なのか?あなた達従者も、主の命令とあらば間違いを正さず、ただ従うだけのくだらぬ操り人形の集まりか?」


「お前っ!?なんと無礼な!!これ以上の侮辱は許さぬぞ!!」



小次郎の訴えに、一人の従者が顔を真っ赤にして小次郎を罵倒する中、もう一人の従者が冷静に口を開いた。



「おい待て。この小僧、よくよく見れば御館様に仕えたいと数日前に屋敷を尋ね来た者ではないか。まさかこれは、御館様に雇って貰えなかったその腹いせのつもりか?」



貴族の従者の者から返された、思ってもみなかったとんちんかんな言葉に、小次郎はふんっと鼻で笑い飛ばす。



「何と言われても結構。ですが、雇っていただけなかった事、今となっては感謝をしなくては」


「何?」


「こんな、人を人とも思わぬ冷酷な人間に仕えることなどできるものか!俺はお前らみたいな恥も自尊心もないつまらない人間になど絶っ対にならない!貴族だから何だと言うんだ?人の命をそんな簡単に奪って良い権利など誰にもありはしないっ!」



思いの丈を力強く言い切った小次郎。

その瞬間、どこからともなく拍手が聞こえて来た。


その拍手の音に、野次馬含めその場に居合わせていた全ての人間の視線が、音のする方へと向けられる。

皆の視線の先、立っていたのは麻で作られたみすぼらしい小袖に身を包みながらも、どこか気品漂う美しい女。



「良く申した!少年!!」



女は拍手と共に小次郎に賛辞の言葉を送った。

そんな彼女をギロリと鋭い目で睨む貴族の従者達。

低く冷たく女を威嚇する。



「女、何のつもりだ?」


「何とは?その少年の発言に感動したので、こうして拍手を送っているのだよ。のぉ、忠平殿」



だが、彼等が発する殺気にも威圧にも臆する事なく、その美しい女はニッと笑みを零し、隣に立つ男に向かって同意を求めた。

格好こそ、薄汚れた麻の着物を着ているが、この男こそ藤原忠平その人だ。



女の口から出た“忠平”の名前に、それまで牛車の中に隠れ、決して姿を見せようとはしなかった貴族、芳正が驚いた様子で牛車の窓から突然顔を覗かせた。



「お、御館様?!このような公の場で顔をお出しになるのは……」


「馬鹿を申せ!忠平殿と言えば、現右大臣の任につかれているお方。お前こそ口を慎め。あの方へは決して無礼はあってはならぬ!それら全ては私の恥になるだからな!!」


「………えっ……あのお方が………右大臣様?」



芳正とその従者が上げた驚きの声に、再びその場に居合わせた皆の視線が一斉に忠平と娘の元へと注がれた。



「近衛中将、藤原芳正殿。今のやり取り、全て拝見させていただいた。ここは公の道であろう。そなたの私動では決してない。それなのに何故なにゆえ、病で身動きの取れなくなっている老婆を待たずして牛車を進めるよう命じた?」


「それは……………」


「これは重大な問題として朝廷に報告させて頂こう。場合によっては処罰を受ける事もあるやもしれぬな」


「そ、そんな……私はただ……」


「何か言い訳でも?」


「……い、いいえ……何もございません。誠に申し訳………ありませんでした」



忠平に向けて謝罪の言葉を零す芳正。



「それは私にではなく、ここにいる者達皆に申すべき言葉であろう」


「なっ!それは私にこの卑しい者共に向けて謝罪しろとおっしゃるのですか?!」



「卑しい者とは聞き捨てならぬな。我等公おおやけ)は、彼等民人達を守る為に政を司っているのであろう。そして我々貴族もまた彼等民人達によって日々の暮らしを守られている。貴方はまず、その歪んだ考えから改められてはいかがかな?」


「っく………」


「何か言いたい事がある様子。私に言いたい事があるなら遠慮はいらぬ。今この場ではっきりと申してみよ。そのように唇を噛み締めているだけでは、何も伝わりはせぬぞ」


「も……申し訳……ございませんでした」




こうして、皆の見ている前で、芳正を含めその配下の者達は小次郎や老婆に頭を下げる事となった。

それを見守った後に、忠平とその娘は、静かにその場から去ろうとする。

気付いた小次郎は慌てた様子で二人の後を追いかけた。



「あのっ!」


「……どうした、少年?」



二人の元へと駆け寄って来た小次郎に、忠平と共に居た気品漂う綺麗な女人が問いかける。

一番に小次郎へと拍手を送ったこの女人こそが千紗の母である順子(じゅんし)

順子の言葉に小次郎は急いでその場に座り込むと、深々と頭を下げて見せた。



「お願いがございます!俺を……俺を………どうか貴方様の従者に!」





***




こうして、小次郎は藤原家臣下として仕える事となったのだ。

田舎者であるが故に、最初は周りから見下されていたが、彼を気に掛けてくれた忠平の計いで、藤原家へと仕える武士団の棟梁のもとへ養子に入り、それがきっかけとなり次第に周りと馴染んで行き、今の信頼を勝ち取るまでになって行った。

今の小次郎があるのは全ては忠平のおかげ。

小次郎は忠平に深い恩を感じると共に、ある不思議に思っていた事があった。



「忠平様に、ずっとお聞きしたい事がありました。何故、俺なんか田舎者の事を気にかけて下さったのですか?何故貴族でありながらも、忠平様は民の事を気にかけて下さるのですか?」



突然の小次郎の問いかけに、忠平の顔には苦い笑みが浮かんだ。



「私は、お主が思っているような立派な人間ではないよ」



そう小さく漏らした忠平は、どこか切なげに夜空に輝く月を仰ぎ見ていた。



「ただ私は、ある男との約束を果たそうとしているだけなのだ」



「……約束?」


「あぁ。古い友人と昔交わした約束。誰も罪を犯す事のない平和な世を作ろうと言うな。だがな……その者は私利私欲の為だけに政治を行う貴族達から煙たがられ、この都から辺境の地へと追いやられてしまった」


「そんな……」


「それを率先して行ったのは、当時左大臣だった私の兄、藤原時平(ふじわらのときひら)。私は、兄が怖くて彼を助ける事が出来なかった。約束したのにな。二人でこの国を変えようと。それなのに……変えるどころか私は貴族共と一緒になって彼を死に追いやった。彼を助ける事が出来なかった……」


「その方は……死んだのですか?」


「……あぁ。流された先の地で。どのような最後を遂げたのか、私は知らない。だがきっと恨んでいたのだろうな。兄の事を。私の事を。そしてこの腐りきった世の中の事を……」


「……」


「あの日偶然町でお主と出会って、まるで彼を見ているようなそんな錯覚に襲われたのだ。お主が臆する事なく貴族に向かって正義を説く姿が……醜い出世争いばかりを繰り広げる朝廷内で、一人必死に世の変革を望み、説き続けた友の姿と。お主との出会いが、彼との約束を蘇らせてくれた。彼の死を自分のせいだと責めながらも、ただ縮こまる事しか出来なかった私を奮い立たせてくれた」


「そんな。俺は何も……」


「気付いておったか?あの日初めて貴族にの者に虚勢を張ってみせた私の手は、情けない事に震えておったのだ。それを側で支えてくれたのは妻である順子。あの日逃げる事なく大勢の前で大見えをきれたのは、全てそなた達のおかげ。今の私があるのは、友と交わした約束と、側で支えてくれたそなた達の存在があったからこそ。だから私は、何も立派な人間ではないのだよ」


「そんな事はありません!やはり俺は、忠平様と出会えて良かった。貴方や千紗、順子様のような貴族に出会えたから……忠平様のような心優しい方が納める都ならばと、生きる希望を持つ事が出来た。だから俺は、忠平様にお仕えできた事を誇りに思います!」



力強い小次郎の言葉に忠平は一瞬面食らう。



「……恥ずかしい事を平気で口にする奴だ。お主に呆れられぬよう、私もまだまだ大臣として頑張らねばならぬな」


「忠平様ならばいつかきっと、その友人の方との約束を果たす事が出来ますよ。俺はそう信じてます。そして、微力ながら俺もそのお手伝いが出来たらと、思います。

いつか……いつか必ず俺は京に帰って来ます。その時はまた、俺を従者として、忠平様の側に置いて頂けませんか?」


「私も是非、お主に私の右腕として働いて欲しいと思っておるよ。生まれながらの家柄や、身分などに囚われる事なく、お主のような情熱と才能に溢れた若者が、能力に応じて評価される世の中であって欲しいとな。あぁ……だがそなたを私だけの右腕としてしまったら、あの我が儘娘が怒りそうだな」



忠平がクックと笑いながらそんな言葉を漏らす。

小次郎にも容易に千紗の拗ねた姿が思い浮かんで、釣られて笑った。



「……待っておるからな。あの子の為にも必ずこの屋敷に帰って来なさい」


「はい、必ず」



小次郎の返事に、忠平は満足そうに穏やかに微笑んだ。




「おっと、もう一人そなたとの別れを惜しむ者がおるようだ。私ばかりがいつまでも、お主を独占している訳にもいかないな」



庭先に広がる真っ暗な闇の中、ある一人の気配に気付いて忠平が零す。

忠平の口から溢れたその言葉に、小次郎も庭の奥へと視線を向ける。



「……秋成」



闇の中、見つけた人物の名前を小次郎が小さく口にした。



「お話中、申し訳ございません兄上、忠平様」


「よいよい。私との別れの挨拶は済んだ。義理とは言え、兄との別れは寂しかろう。次は兄弟同士、別れを惜しむがよい」



忠平の言葉に、小次郎と秋成は深々と頭を下げる。



「では忠平様」


「あぁ。達者でな、小次郎」




二人は、忠平に背を向けると、深夜の暗闇へと姿を消して行った。

二人を見送り、優しい笑みを浮かべながら、忠平はポツリと小さく独り言を呟く。



「本当に……あの子をみていると、そなたを見ているようだよ道真みちざね。才能があるのに出自に恵まれず苦労している所も、人一倍正義感が強い所も、そして何より自分の事以上に他人の為に一生懸命になれる優しい所も、本当にお主によく似ている」



呟きながら再び夢に見た友との懐かしき約束を思い出していた。




――『忠平、私がなしえなかった事を、お前に託そう。この京を…………人々が罪を犯す事のない平和な都へと導いてやってくれ』――




「お前が死んで、30年以上も経つと言うのに……あの子にまで、過酷な運命を背負わせてしまっている。私は……本当にお前との約束を果たせる日が来るのだろうか?なぁ、道真……」






近衛中将このえちゅうじょう

役職の名前。皇居・京中・行幸などの警備を担当した軍隊の一つである近衛府このえふの次官。



あさ

植物の名前。平安時代の庶民の着物は、安く作れるうえに、動きやすい麻や木の繊維で作られたものが多かった。



小袖こそで

現代の着物の原型。平安時代、貴族の女性が大袖おおそでの下に、下着として着ていたもので、袖口の開きが大きく、袖丈一杯まで開いている袖形状の大袖おおそでに対し、袖口の開きが狭いことから小袖と名付けられた。庶民にとっては小袖が日常着として用いられていた。


右大臣うだいじん

律令制の中での役職の名前。太政大臣、左大臣の次に位し,政務を統轄した。



道真みちざね菅原道真すがわらのみちざね

平安時代の貴族、学者、漢詩人、政治家。忠臣として名高く、宇多天皇の信任を得、当時朝廷内で力を強めていた藤原氏を抑えるために重用された。宇多天皇の子、醍醐天皇の時代には右大臣にまで昇った。しかし、左大臣・藤原時平(忠平の長兄)に讒訴ざんそされ、大宰府へ大宰員外帥として左遷され現地で没した。道真の死後、天変地異が多発したことから、道真が朝廷に祟りをなしたとされ、天満天神として信仰の対象となる。現在は学問の神として親しまれる。

学校の教科書でも遣唐使を廃止した人物として名前が出てくる歴史上の偉人。



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