長い夜
「あたし、まだプレゼントもらってないんだけど」
クリスマスの、正確にいえばイブの夜。
なんとなくこのまま寝てしまいそうな雰囲気になりかけて、あたしはしびれを切らしてそういった。
ちょうだいって甘えてるようで、ちょっと恥ずかしいけど。
でも、やっぱり気になるし。
リボンつきのパジャマを着た彼女は照れくさそうに、
「えっと……私、とかじゃダメかな?」
といって小首をかしげた。
ウェイビーな髪がふわっと揺れて。
それが本当に色っぽくて。
ちょっとだけ期待したけど。
でも、今日は平日だから。
「……はいはい。明日も仕事だっけ? もう遅いし寝よっか」
なんて、ふて寝でもするようにベッドに横になったら。
「違うの。明日は休みなの」
なにをいわれたのか、一瞬理解できなかった。
あたしを覗き込むようにして、彼女がいう。
「有給取ったの。そっちも明日休みでしょ?」
そのままあたしの首に抱きついて。
すべてを預けるように、優しく唇に触れて。
それだけで、冗談じゃないってわかったから。
「……いいの?」
「いいよ」
あたしは布団に包まって、もらったばかりのプレゼントのリボンをそっと解いた。
そこには、あたしがプレゼントした下着を身につけた、愛しい彼女がいて。
「大事にしてね」
「うん」
誓うように、あたしはそっとキスをした。
一生、大事にするからね。
了