です。
『大好きでした』
おばあちゃんの遺品を整理していたら、そんな言葉で締めくくられた手紙が見つかった。内容から、どうやら女学校の卒業式の日に、後輩の娘から渡されたものらしかった。
「大好きでした……か」
その気持ちは痛いくらいにわかった。
同じ覚えが、というより現在進行形で私にも大好きな女の先輩がいるからだった。その先輩も、もう少しで卒業してしまう。この気持ちは口にしないつもりでいたけど――。
手紙のような文字でなら、私でも告白できるんじゃないかとそんな風に思ってしまう。
手紙には一緒に流れ星を見たことが一生の思い出だと書いてあった。
文面から滲み出る想いの温かさに、読み返しながらひとつひとつ共感していたら、大好き“でした”と過去形になっていることに気づいた。
「大好きでした……か」
なんだか気持ちまで思い出の中に閉じ込めているようで、ちょっと歯痒くなる。
私なら、この気持ちを思い出になんて絶対しないのに。
そう思ったら、急に先輩に逢いたくなった。
でもこの気持ちは、きっと文字では伝え切れないから。
私は祈るような気持ちで、ケータイを手に取った。
「あ、もしもし、先輩? あの、今夜……一緒に星を見に行きませんか?」
了