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ヒヤシンス  作者: 新々
3/22

カイロ

 冬は嫌いだ。特に朝は――。


「うー、寒い。マジありえない」

 登校中、手に息をはきかけながらそんな言葉を漏らしたら、となりを歩く友達が反応した。

「……あたしが温めてあげよっか?」

「どうやって?」

 こうやって、といきなり私の手を握ってくる。でも。


「ひゃっ! 冷た……くない?」


 むしろ熱いことに、ちょっと困惑する。

「さっきからずっとカイロ握ってたからね」

 白く息をはきながら得意気に笑う顔が、なんだか悔しくて、

「なら、そのカイロちょうだい」

 っていったら、

「やだ」

 って、今度は駄々っ子みたいに、ぎゅーって。


 その反応が、なんだかかわいくて。

 嬉しくて、温かくて。


 だから私も、ぎゅって握り返してこういった。

「……じゃあ学校着くまで手握ってて」

「……うん」

 マフラーで盛り上がった髪を揺らしながら、友達がちょっとだけ嬉しそうに頷く。


 まあ、冬も悪くないかな。特に朝は。

 なんて。

 学校までの長い長い道のりを歩きながら、そんなことを思った。


 了

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