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ヒヤシンス  作者: 新々
2/22

おはよう

「おはよう」

「おはよう」


 いつものように、彼女とあいさつを交わす。

 でも、お互い住んでる場所や職業はもちろん、名前さえ知らない関係。

 知っているのは、同じ時間に同じ場所ですれ違うことだけ。

 彼女はジョギングで、私は犬の散歩で。


 いつからそんな風に声をかけ合うようになったのか、よく憶えていない。気がついたら、散歩と同じでそれが当たり前になっていた。

 お互い目を合わせて、微笑みかけて。


「おはよう」

「おはよう」


 そんな、なんでもないことだったのに。

 いつからだろう。夢にまで出てくるぐらいに、彼女を想って眠るのが楽しみになったのは――。



「……そんなこともあったかな」

 朝、ベッドの上でつぶやいてみる。

 もうあの場所で彼女と逢うことはない。飼ってた犬も死んでしまったし、私もずいぶん前に引っ越してしまった。

 懐かしい夢を見て、少しだけ心がくすぐられる。


 忘れていたわけじゃないけど、薄れてはいたかもしれない。

 あの時の気持ちを。あの時の想いを。

 だから私は、昔の私に戻ったつもりでいった。

 目を合わせて、彼女に微笑みかけて。


「おはよう」


 ベッドの上の彼女もまた、同じように返してくれる。

 目を合わせて、私に微笑みかけて。


「おはよう」


 今では恋人になった、私の彼女が。


 了

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