異世界二日目
翌朝、皆が起きた所で朝食に持ってきていた米を昨日使って余ったオーガの肉と森でリナリスが採取していた薬草に混ぜ、ビリーに頼んで美味しく調理した物を皆で食べた。
皆米を使った料理に興味深そうにしており、美味いと言ってかなりの量が無くなった。(勿論肉が、だが)
そして、昨日できなかったエアーガンの講習に入った。
「・・・と、まあこんな感じだが。解ったか?」
「・・・・」×3
やはり皆口をあんぐりと空けて呆けている。
「これを一人一つ渡しておくから魔物の対処は任せた。俺は地図を見て、何処に魔物が潜んでいるか確認して指示を出すから、その方向に向けて撃ってくれ。昨日の説明と実践でスケボーは皆扱えるはずだから、今日は少し早く進める筈だ。一先ず昼まで進んで、昼にまた少し聞き忘れたことが有ったからその時聞く。・・・・それじゃ、移動する。」
大作はそういうとビリーに乗り、少し早めに移動を開始した。
移動中、時折遭遇する豚、熊と言った、魔物を遥の練習台として適当に焼かせ、ジェイドの風で運ばせ魔素が無くなったらリナリスに収納して貰うと言ったことを繰り返して昼になった所で休憩に入り、聞くことを聞くことにする。
「ではジェイド。昨日聞き忘れたこの大陸について、知ってることを話して貰おう。」
「はい、解りました。では、・・・」
そして解ったことは
リード 一万
お金の単位は R 。 1Rで鉄貨1枚 100Rで銅貨1枚 10000Rで銀貨1枚
100万
1000000Rで金貨1枚
1億
100000000Rで王貨1枚
冒険者になった者はギルドカードに全額、もしくは任意の金額が報酬で振り込まれる。しかし銀貨からのみ、小銭は各自がおやつを買うのに必要だろうと気を利かせている。
騎士は給料制で各国の所属国経済庁が管理(人間の国のみ、他は知らない。)
大陸の名前はアルタイア大陸。
主に9つの国からなり、内5つが人間のみの国
一つは今から向かう王都がある国、モーリス国 大陸の中心で中立国 都市は主な物で三つ
先ず、王都ベルーガ ここは王城があり貴族が主に治水や商業、研究を行い、王家が法律の立案、法廷での裁判を行う完全分担制で、ここで決まった法律が他の都市の法律にも直結する。
そして、学園都市テルス ここは文字道理勉強をする都市。しかし、日本との違いは規模。ここだけで人口が3000万人を超えると言われている程の大都市。ここでは勉強を主にする魔法士及び研究者の卵と騎士や冒険者の様な一人でも食べていけるような人間を目指す者が一緒に日々努力している。
最後に魔法研究都市ベルン ここも文字道理魔法を研究する都市。 ここに学園都市を卒業し、研究者に成ろうとする若者が訪れ、日夜研究に励んでいる。
他、貴族の収める領地多数
他の国はそれぞれガルン帝国 皇帝一族が一切を取り締まる国 大陸の3分の一から北側を総べる大国
ボーラン国 武術が盛んで魔法なしの護身術が有名 大陸の西
シリンド国 商人の国で交易が盛ん あらゆる物流の中心 大陸の南海岸線一帯
トライル国 魔道国家 魔道具の基礎を作った人物の国 大陸の東
これら4つはジェイドも主な物しか知らない。
他は 亜人種の国 亜人と人の共同生活の国 魔王が統べる魔人国 シリンド国の更に南に位置し多くの島国からなる群島国家
その他別大陸に魔物が跋扈する大陸や浮遊大陸もあるなど噂の類は数多い。
「・・・と、まあこの位ですね。ボーラン国で3年に一度武闘大会が行われるらしいですが、行ったことはありません。」
「その、武闘大会は人間のみか?」
「魔道具は一応本人が舞台に居れば可能の筈です。・・・一応言っときますが危険ですよ?」
「一応聞いてみただけだ。俺もまだ死にたくないからな、魔法の肝心な部分が解るまで油断はしないさ。」
「それを聞いて安心しました。貴方方を失うのは昨日と今日でかなりの損失になると理解しましたので。最悪、ガーディアンなどでご自分の国を造られるとしても、良縁を結びたいと思いますよ。話はこれ位でしょうか?」
大作はそうだが、遥は違うようだ
「ねえ、ジェイド。さっきからこの北の方向約10キロの位置に10人ほどの熱源があって調べたんだけど。こいつ等の統一されてるこの鎧に見覚えある?」
言われて見てみると、確かに片翼の鳥の様な紋章の一団がこちらの方に向かって来ている。
「ふむ・・・これは帝国の物ですね。しかし、あそこはまだ内部の権力争いで他国への進攻は無いと思ってましたが・・・。少し話したいので皆さんはあちらの岩陰に隠れていてください。念のため風で会話を送りますので大作さんは記録をお願いします。貴方なら可能でしょう?」
俺は頷き小型レコーダーをビリーに取り出させ、皆の胸に取り付け、更にジェイドに発信機を持たせた。
「これは?」
「それを持っていたら、俺のパソコンに居場所が表示される。謂わば連れて行かれた場合の捜索手がかりだ。」
と説明し俺たちは岩場に隠れた。
それから20分後、馬に乗った騎士の団体がジェイドの前にやってきて
「すまないが魔物の群れに追われているのだ、助力願えないか?もう少しでモーリス国の王都の筈だがその前に見つかってしまったようだ。こちらのケーリス殿下を伴い亡命したいのだが、我々だけでは辿り着けそうにない。どうだ?」
その言葉に大作と遥が怪訝な表情をする
「おかしいよ。この人たちがどういった方法で来たのか知らないけど、魔物の反応なんか何処にもない。ジェイド気を付けて、その人たち多分嘘言ってる。何らかの理由でこちらを襲う気だよ。」
遥の指摘でジェイドも警戒を強くして、団体を見据える。
「解りましたが、魔物は何処ですか?出来れば遠くから魔法で迎え撃ちたいのですが。」
そういって、騎士たちの背後を観察するジェイドの後ろへ騎士の一人が回り込み脇に携えていた片手剣を抜くとジェイドへと振り下ろそうとした。
しかし、ドン!「うわっ!」ドテッ! 「いって-、またかいな。」 パン! ドッ!
と、大作がエアーガンを撃ってその反動でこけて痛がる声と、振り下ろそうとした騎士の頭が吹き飛び後ろに体が倒れる音がした。
その音と状況に一気に混乱した騎士たちは
「今のなんだ?」
「どこから攻撃してきた?」
「くそ!伏兵か?誰も仲間はいないと思ってたのに。おい!餓鬼、お前はもう用済みだ。死にたくないんなら一人で何処へでもいけ!」
「でも、依頼料は?」
「んなもん、失敗したのにあるかボケ!殺すぞコラ!」
「ヒィ!解りました。さよなら!」
そう叫び、子供は王都方角に走って行った。
そしてその会話を聞き、ジェイドは大体を理解した。
「なるほど。つまりは帝国の内情を利用して、罠にかけ、襲って金品や身ぐるみを剥ぎ、場合によっては女性を浚おうとする集団のようですね。帝国の鎧は恐らくシリンド国の商人から買い取ったのでしょう、あそこは金さえ払えばどんな品も用意しますからね。今まではどうか知りませんが、今回は些か相手がわるすぎましたね。大作さんの魔道具は本当に素晴らしい物ばかりです。あなた方には言っても無駄ですが今度から襲う相手はきちんと調べた方が良いでしょう。まあ、逃がしはしませんがね?」
そして、ジェイドはこちらを振り向き
「リナリスさん、何か魔道具の拘束具は有りますか?」
と聞いてくる、その言葉に勝敗が決したと見て、全員が岩陰から出ていく。
「いえ、力を一時的に落とす物しかありません。お店の方には置いてますが・・・。」
「気絶するぐらい強力な電気を発する物なら有るが。しかし、強さを間違うと死ぬぞ?」
「・・・・」×10
「大ちゃん、スタンガンもいいけど電磁手錠がこの場合最適じゃない?」
「おお!その手があったか。」
「ねー。その、何とか手錠って何?」
「んー。解りやすく言えば、人の手足に枷を嵌めてたら、その枷同士がくっ付き身動き出来なくなる物だ。」
「それはいいですね。質問をしても答えてくれそうですし。・・・それでは皆さん大人しく捕まれば痛い目見ませんよ?」
そして、ジェイドは残りの盗賊(襲って来たので)を見据えて警告する。
「くそ!捕まればどっちにしても命はねえ。一人でも道ずれにするぞ手前ら!」
「おおーーー!」
そういって、それぞれが散って行って大きな円に成り、大作たちを取り囲む。
「ほー。逃げられないとみて、包囲殲滅か。これは大人数でやるには良い作戦なんだが・・・。アンタらこの作戦の穴を知ってるか?」
カイルの指摘に盗賊の一人が怪訝な顔で聞く。
「何があるってんだ。知り合いの軍経験者に聞いたら、人数が居れば逃がさずゆっくり料理できる陣だと聞いたぞ。」
「それは、相手よりかなりのそれこそ二.三倍の人数、しかも一人一人の実力が相手より上の場合だ。今の攻撃を見て分かる通り、この武器ならこの貧弱そうな男でも、攻撃したのが解からないスピードの攻撃を可能にするんだ。それを全員持ってるんだ、どう見てもこれは逆に戦力分散の愚を冒してるとみえるぞ。」
そして、大作が
「加えて、俺たちは背中合わせに撃てば狙いを付け放題、打ち放題、味方の被害を気にせず敵を殲滅できる。なーんて、相手に嬉しい陣形なんだ!(大声)」
大作の付け足しにテイトとガーナが
「へー、珍しい魔道具を持ってるばかりじゃなく戦術にも多少は明るいなんて、ホント何もんだ?」
「しかも、囲まれてるのに平然としてるし、意外と肝は据わってんのか?」
そして遥が
「ただ緊張感が無いだけだよ。気にしたら終わりだから私は気にしない。」
「・・・・」×全
「・・・と、まあこのように恐怖で縮こまる者は居ないので、その点も諦めた方が良いですよ?」
と、ジェイドが締めくくるがやけになった盗賊は
「ンなこと知るか!こうなりゃ同時に掛かるぞ!一人でも道連れだ!」
「よっしゃー!」
「俺様、いっきまーす。」
そうして、皆同時に掛かり
ドン! パン!
と、一瞬で皆殺しになった。
「・・・やっぱ、凄すぎだな、この武器。」 とガーナ
「ああ、威力もそうだが、撃った後に普通の魔道具を使うような体の疲れや倦怠感、魔力の消費が無いのが大きい。」 とテイト
「矢のように玉切れを心配が無いのもいいわね。」 とシェンナ
「唯一の問題が溜めですが、普通の魔法でこの威力の物はもっと溜めに時間が掛かる物ですから大して気に成りませんね。」 とリナリス
全員の意見を聞いて、大作は次の武器の構想を練るのだった。
「さて、余計な闖入者が現れて時間を食いましたが、そろそろ行きますか?」
「「「さんせー」」」
その後少々の食料を狩りつつ、予定よりもはやい速度だが昼の騒動で時間が掛かったこともあり、予定どうり王都まであと二日の所でキャンプを張り、今日の工程は消化した。
そして就寝前の一時
「この調子だと、大作さんの召喚魔法でどんな凶悪な物が出てくるか、ワクワクやらガクガクヤやら、何ともいえない気持ちですね。」
ジェイドの意見に大作は
「いきなり広域殲滅兵器などは出さんよ。何より、俺の予想では大きなものはまだできないだろうからな。まずは魔法に慣れてからだ。」
「その予想も近そうで安心ですがね。・・・あっ。」
「ふっ。別に気にしてないさ。会話を盗み聞くくらいお前の魔法なら簡単だと既に理解済みだ。気にするな。」
そん言葉でまた、安心と恐怖が同時に来るジェイドだった。




