第二話
「実はさ、2-4の明菜って子知ってるか?」
一月は少しニタニタしながら言った。
「あー、南明菜か?」
なぜか俺は知っていた。
「そうそう!!あのこマジ可愛いよなー。惚れちゃったよ。」
予感的中!!!!!
やっぱり恋をしていたんだな。
しかし、南明菜とはずいぶんと高レベルの子を選んだな、まあ無理もないかもしれないな。
南明菜は俺らの中の憧れのプリンスだ。
誰が好きになってもおかしくないな。
暗い声で話を続ける一月。
「でも、無理に決まってるんだよなー。俺のことなんか気にもかけてくれるはずがないや。」
「そんなことねんじゃね?」
フォローするようにすかさず口を開く。
「メールとかしてんの?」
一月は下を向いて首を横に振る。
「聞いてねーのかよ!!」
呆れたように言う。
「だって、拒否られたら怖いし。」
「やってみなきゃわかんねーだろ!」
「じゃー達也もついてきてよ。」
「わかった。」
俺らは2-4に向かった。
2-4の廊下から教室に顔を覗かせると窓際の一番後ろで5、6人でたまっているグループの中に南明菜はいた。人気は目立つその美しさ。
俺は一月に言った。
「早く聞いてこいよ。俺待ってってから。」
「おう。」
震えた声で言いながら、一月はガチガチになって教室に入った。
五分くらいして、一月は帰ってきた。
俺は手に汗握りながら聞いた。
「どうだった?」
一月は涙目で小さな声で答えた。
「…た。」
「あ?」
「聞けた。達也!聞けたよ俺!」
大声で喜ぶ一月に俺は少し恥ずかしかった。
まあーこれで一件落着だな。
そんなことを思いながら、帰り道の夕焼け空を見つめながらささやいた。