03 町の反応。
魔人の特徴。それは魔法が使える金色。黒い服あるいは布を纏っている――以上。
大きな町ともなると、魔人に関する張り紙が出回っている。
注意を呼びかける紙、賞金額の書かれた手配書風、誹謗中傷する文章……。
似顔絵を描いている紙もあるが、似ても似つかない。想像と妄想ででっち上げているのが丸分かりだ。
「さあさ、号外だよ!
三日前、テセンの村に魔人が現れた。ヤツは世界を冒涜する力を用いて、村を水攻めにしたという話だ!!
なんとも人畜関係なしの悪行。酷い話なこった。
――おっ、そこ行く兄ちゃんたち。テセンの方向から来たようだが、魔人に襲われなかったかい?」
紙を差し出され呼び止められるが、わたしは受け取ることなくその相手を見た。
彼も同時に相手を見ると、ノリと勢いで配っていた相手は『ひっ!』と恐怖の声を洩らした。
魔人は金色。
彼の髪は金色。とても目立つ、鮮やかな輝きを放っている。嫌でも目に映るし、気づかない方がどうかしている。
「あ、あんた……ってか、そっちの男、この町に泊まるのかい?」
「一応」
答えたのはわたし。
「だったら、西地区に行ってくれ! ここは金色が泊まれる場所じゃない!」
それ以上の言葉はなく、さっさと離れて行く。
気がつけば回りに居る人全員、わたしたち――どちらかと言えばマヒト――を腫れ物扱いするような目で見ていた。
金色迫害――
「…………オレのせい、か?」
「違う! 違うんだ。
元々この町は金色迫害が激しい所なんだ。分かっていたけど、どうしても通らなきゃならなかったから……逆に、わた――ボクのせいだよ」
いきなり石を投げられなかっただけ、まだマシだ。多分……まだ魔人だとバレていないからだ。
それでも金色ってだけで、物が飛んでくることもある。
――分かっちゃいたけど。
「…………でも、ごめん。オレのせいだ」
項垂れるマヒトに、かける言葉が見つからない。
無言のまま、言われるがまま、西地区へ歩き出す……途中、
「き、金色のバケモノッ!!」
小さな子どもから、石が投げつけられた。
整備された道に石はないから、常日頃から石を持ち歩いているのだろう。金色に対し、すぐに感情を表せるように……だ。
どこでも忌み嫌われ、金色というたったそれだけの理由で差別される。
マヒトの額から血が流れる。治りかけていた傷口が開いたのだ。
低く、誰かの悲鳴がこぼれた。
同じ赤い血。
これでも彼を、人ではないと言うのか?
「……大丈夫だから、気にするな」
心は、そうじゃない。