表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

刺し違えた才能

作者: 汐野 夢咲
掲載日:2026/03/14

ある日届いた1通の手紙。


菅原 星那は自殺じゃない。殺されたんだ。

親友のあんたなら、わかるはずだ。


「続いてのニュースです。小説家の菅原 星那さんが、自宅で死亡しているのが見つかりました。自殺とみられています」

菅原 星那。彼女は大人気小説家。新作を出せばベストセラーは当たり前。実写化すればこれまた大好評。低迷していた紙の書籍の売り上げも奇跡の大復活。彼女の更なる活躍に注目が集まっていた。そんなときに起きたこの事態。出版業界に激震が走り、日本中、世界中が悲しみに暮れた。


私もその一人だ。私の名前は原日 菊乃。星那とは、お互いの母親が仲が良く、物心ついたときからずっと親友だった。学生時代もどこに行くにも一緒だった。星那は幼い頃から絵本や物語に興味を示す子だった。オリジナルの物語や架空の昔話を作っては同級生に披露するほど、本や童話が大好き。将来は小説家か本に携わる人になるのかなと思っていたら案の定、小説家になった。しかも超が付く程の売れっ子作家だなんて⋯⋯⋯⋯。

なんで.。どうして...

一体何があったのだろう。

私は現実を受け止められず彼女の死に目を背けていた。

そんなときに届いた一通の手紙。星那が殺された?殺人?いやいや、そんなわけない。星那はこういうのに巻き込まれる性格じゃないと思う。本当に殺人だとしたら犯人は誰?

私は、警察に手紙が届いたことを話し、事情聴取を受けた。

星那は一人暮らし。最近は仕事漬けで、外出はあまりしていないと言っていた。家族仲もすごくいい。

本当に星那は非の打ちどころがない、素敵な人だと思う。

手紙が届いた次の日、司法解剖の結果が公表された。死因は胸を刺されたことによる失血死。自殺で片付けられていたが、この報道を受けて、いろいろな憶測が飛び交った。「菅原さんの悪質なファンがやったのでは?」「他に恨みを買った人がいるのでは?」毎日報道番組は星那の話で持ちきりだ。

死因が発表されて一週間。私は星那の部屋へ向かった。何かわかるかもしれないと思ったからだ。

中に入って、手がかりを探していると一冊の小説が目に留まった。菅原 星那✕ 都ノ咲 大樹と書かれた小説。星那のデビュー作だ。この共作がきっかけで二人は知名度を得た。しかし、都ノ咲はそれ以降、売り上げが低迷していた。

私は小説を見つけた瞬間、重大なことを思い出した。都ノ咲と星那が付き合っていたことを。私はすぐ警察に連絡し、都ノ咲に任意の事情聴取が行われた。

「都ノ咲さん、菅原 星那さんとはどのような関係ですか?」

「仕事仲間です。俺が菅原さんを殺したって言いたいんですか?違いますよ?」

都ノ咲は聴取開始から明らかに動揺していたが関与は否定した。

「菅原さんと交際していたのではないですか?デビューしてから」

この言葉を口にしたときから、都ノ咲の態度が一変した。

「はぁ?どこから手に入れたんだよ?その情報。まぁ、そうだけど?」

「都ノ咲さん。菅原さんに恨みを持っていたのではないですか?自分と一緒にデビューしたのに、星那さんだけが売れて……」

その瞬間、都ノ咲が机をバンッ!と叩いた。

「もう終わった……星那のせいで俺の人生、終わったんだよ!」

この話をきっかけに、都ノ咲は犯行を認め、逮捕された。

星那、よかったね。私に届いた手紙は未だに誰が入れたのかわからない。でも私は、星那が私にくれた最初で最後の手紙だと思っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ