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実の子が見つかったからと邪険にされたので、屋敷を出た養女の話  作者: 山田 勝


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3/5

メアリーの誤算

刻はメアリーが屋敷を出た直後に遡る。



「はあ、幼女は辛いぜ」


 しかし、久しぶりのお外だ。

 孤児院にでも帰ろう。

 記憶はある。

 ゼークト伯爵領だ。いや、王都の孤児院に行っても良いか?それが無難だ。


 日本でもそうだが、この世界、幼女一人で生きるのはハードモードだ。


 ドレスを売ろう。今着ているドレスを安い服と交換しようと思ったが・・・

 大人とぶつかりそうになった。


「でよ。キャサリンは俺に気があるようだぜ」

「酒場のナンバーワン酌婦の?まさか、おっと、危ねえな!」

 よそ見してお話をしていた大人とぶつかりそうになった。怒られた。


 しかし、私のドレスを見てすぐに。


「あ、貴族令嬢?申訳ありません」

「ゴホン、気をつけるの~」

「はい、では失礼します」


 このドレスで事なきを得た。

 まるで警察官の制服だ。


 グゥウウウ~~~


 お腹がすいた。串焼き屋がある。そこで食べよう。

 お昼時で込んでいる。

 だが、すいている店を選んだ。


 何故なら交渉をするからだ。


「串焼き欲し~の」

「はい、お嬢様」

「でも、相談があるの~、この蝶蝶の髪飾りと交換して欲しいの」


 貴族令嬢は基本お金を持ち歩かない。使用人に持たせるかお屋敷あてにツケだ。


 すると主人は笑った。


「はあ、いいや。無料でどうぞ」

「有難うなの~」


 良い人だ。だが、驚いた。閑古鳥が鳴いていると思ったが美味しい。

「美味しいの~」


「そりゃ、有難うございます・・・」


 話を聞いた。貴族のお屋敷の元料理人で独立したが、客は来ないのだ。


「自画自賛かもしれませんが、私の腕は確かです。値段も安く設定しました。なのに売れません」


 他の串焼き屋を見たが、


「らっしゃい!らっしゃい!美味しいよ!」

「ウフ、いらっしゃいませ~~」


 威勢の良いおっさんや可愛い娘さんが呼び込みをしている。

 この主人に威勢の良いおっさんみたいな売り方は出来ないだろうな。



 だからアドバイスしてあげた。


「お値段を倍にするの~、すると売れるの」

「まさか・・でも、このままだと廃業だしな」


 で値段を倍にしたら・・・


「何だ。プレミア串焼きか?」

「食べてみよう」


「リリー、高級串焼きをごちそうするぜ」

「まあ、有難う」


 何だか高級品と思ってくれた。

 実際、主人は周りの串焼き屋に合わせて値段設定したそうだ。

 だが、手間は倍かかっているそうだ。


 問題は、周りの串焼き屋だ。抗議に来た。


「おい、何故、勝手に値段倍にしているのだよ」

「そうだ。値段は平等にするべきだ!」


 だから言ってあげた。


「別なの~、お値段が高い分、たまに贅沢したい時に来るの~、そうすると活性化するの~」


「貴族令嬢・・・」

「何で・・・ヤンの所に?」


 これはビジネスホテルと高級ホテルの違いみたいなものか?

 それとも牛丼屋のウナ牛丼と鰻屋の鰻重の違いか?客は取り合わない。

 幼女なので頭の容量が足りない。上手く説明出来ない。


 この騒ぎを聞きつけて、ここを仕切っている親分らしき人が来た。

「貴族令嬢が・・・・ワケを聞こうネ?」

「はいなの~」


 私は事情を話した。親分はトーマスという恰幅の良い平民で前頭部が少し寂しい。ここの警備と場所の割り振りをしているそうだ。

 つまり、日本で言えばヤクザか祭りの屋台をしきる感覚か?


「だが感心しないネ。そんなドレスを着ていたら誘拐されるネ。なら、屋敷に来るヨ。孤児院よりは少しはマシだヨ」

「はいなの~」


 裏組織の看板は出していない。トーマス商会だ。



数日後、報告が来た。


「トーマス親分!」

「商会長と呼ぶネ」

「トーマス商会長・・・」


「串焼き通り、倒産した屋台が出ました」

「・・・・あの幼女を連れて見に行くネ」


ヒィ、これはやらかしたか?


何でもヤンさんの屋台に触発されて値段を二倍にしたり。高級串焼き屋を目指した者もいたようだ。


「・・・これは・・・なんネ」


屋台は串の歯が抜けたように空き店舗が目立つが・・・

人が多い。街行く人達が串焼きの話題をしている。


「今日はどこに行く?」

「海鮮串焼きにしましょう」

「俺はヤンのところの高級串焼きにする」

「今日金欠だから激安串焼きかな」


「たかが串焼き屋が話題になっているネ。これは良い倒産ネ、身の程にあっていない屋台は倒産しているネ。種類が増えているネ、もうすぐ落ち着くネ」

「でも、親分、いえ、商会長」


「商売は倒産が常ネ、屋台の負債はたかが知れているネ」


ふう、これで泊めてもらった恩は返せたか?


「これからもよろしくネ、メアリーは客分待遇ネ」


「ヒィ、なの~、あまり知識はないの~」


私はこうして7歳で職業『経営コンサルタント』もどきになってしまった。

孤児院にいくはずが、とんだ誤算だぜ。






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― 新着の感想 ―
>幼女なので頭の容量が足りない。上手く説明出来ない。 ここ正直だけど本能的にやってるあたりがメアリー
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