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実の子が見つかったからと邪険にされたので、屋敷を出た養女の話  作者: 山田 勝


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18/19

塔の幼女メアリー➁

 一日でも早く犯人を見つけてやるぜ。

 と思ったが。良い方法が見つからない。


 中国の春秋時代、晋の霊公は楼台の上から石を投げて民の反応を見て喜んだと云う。


 暴君にしてはスケールが小さいなと思ったが死ぬかもしれないのだ。

 トンデモない奴だ。


 わたしゃ、やられて初めて気がついた。バイトテロじゃない、客がバズりたいだけに飲食店で不衛生な行為をアップする迷惑動画事件のような感じか?



 私は上奏をする事に決めた。

 塔の徹底的な管理と犯人の捕縛だ。


「メアリー様、就寝の時間ですよ」

「頑張るの~」

「メアリー様、ブラックコーヒーはまだ早いですわ」


 どうすれば良い。

 何とか徹夜で書き上げて、ベレッケ侯爵に上奏をお願いすることにした。

 ヘレネーゼ様に仲介お願いをした。


「メアリーちゃん。出来ないわ。お父様は上奏を扱う役職なの。公平を保てないわ」

「ヘレネお姉様、お願いなの~、串焼きストリートの皆が困っているの~」


「でも、火急の用件だから優先することは出来るわ」

「早くなの~、早く~、今日なの~」

「無理言わないで・・・」


 焦っていたのかもしれない。

 その時、カール君がニッコリ微笑んで。


「メアリー様、弓は強く引かなければ矢は放てません」


 と比喩で何かを伝えようとした。

 そして、ヨサブロウさんが・・・


「・・そして、弓を放つその瞬間まで的のことは考えてはいけないで候、姫、これが弓の極意でござる」


「今、弓の話じゃないの~・・・はっ」


 何か閃いた。

 的はレンガを投げた犯人だ。

 私はそれに執着していた。


 石を投げられない状態にすれば良いのではないか?



「カール様、ヨサブロウさん。有難うなの~、ヘレネーゼ様、火急の上奏でお願いするの~」


「メアリーちゃん。分かったわ。三日後よ」

「はいなの~」


 修正上奏文を一生懸命に書き上げた。

 しかし、上奏が許されるのは、貴族の当主か。功績のあった者・・・


 養親のダン男爵に上奏の練習をさせた。


「お、王国の・・太陽・・」


 男爵は財産管理人付になってからすっかり呆けてしまった。


「頑張るの~」

 と頭をペシペシしながら練習をさせて・・・


 遂に上奏の日を迎えた。





 ☆☆☆王宮



「ダン男爵殿の上奏でございます」


「は、はい、太陽に輝く、いや、王国の太陽・・」


「挨拶は良い・・・次が控えているのでな」

「はい!王都内・・・に塔は18ありまする・・・」


 

 男爵は肩を落として帰って来た。


「あなた、メアリーちゃんの役に立てたかしら?」

「はあ、上奏の途中で止められた・・・上奏文を後で読むからと・・・」

「まあ・・・しっかりなさいませ」


 散々の結果だったらしい。

 どうする?こういったテロは厄介だ。防御側は河原の中から一つの石を見分けるようなものだ。




 ☆☆☆王宮


「ベレッケ侯よ。この上奏文、男爵と合っていないな。能力のある者が作ったに違いない」

「はい、しかし、火急の案件です。如何いたしますか?」


「うむ。グレス将軍、塔の管理はどうなっているか?」

「はい、塔に門番がいます。調査の結果、誰も通していないと現場から報告がありました。私は部下を信じます」


「うむ。何かの間違いかもな」


 ・・・これはレンガが落ちてきたと見るべきだ。解体はまだ早い。魔道通信が使えなくなった時の事も考慮するべきだ。その時、妃がやってきた。珍しい。


「あなた・・・」

「ローズよ。体は大丈夫か?」

「はい、何故か、ここに行かなければならないと思いまして」


 妃は食い入るように上奏文を読んだ・・・あの事件前は優秀なパートナーでもあった。


「あなた、民は事件が起きるかもと思わせてもいけないですわ・・・王宮魔道師とこの上奏文を書いた者でワナを仕掛ければ良いと思いますわ・・・塔の管理は上奏文の通りが宜しいかと」


「分かった。そうしよう」



 ・・・・・・・・・・・・・





「やあ、ダン男爵邸に行ったら、奥様からここに来るように言われたのだが・・」

「ハニャ」


 何か、マントを羽織ったやせた男が来た。


「王宮魔道師のヤクツだ。お嬢様が上奏文を書いたと?」


 ここは黙っていた方が良いか?能ある鷹は爪を隠してガブ!だからな。

 メアリーちゃんは猛禽類系の幼女で行こう。


「通りがかりの代書屋さんにお話したら書いてくれたの~」

「まあ、そういう事にしよう」


 ワナを作ってくれた。

 ヤクツさんは平民出身の魔道師だ。


「平民が王宮魔道師なんてあり得なかったが、今の王妃殿下から変わったのよ」

「そうなの~」

「ああ、太陽に寄り添う月のようなお方だ。出来たよ。殺意に反応する魔道具だ」


「違うの~、未必の故意にも反応して欲しいの」

「何だそりゃ?」

「誰でも良いから殺したい人にも反応するの~」


 しまった。日本の言葉を話してしまった。

 未必の故意とは、例えば、人に当たるかもしれないと思いながら石を投げる。

 この場合、典型例だな。


 ミラーボールのような物が出来上がった。


「石を投げる瞬間、殺意に反応して光を放ち体内の魔素に反応して額に印を浮かび上がる。逮捕できるわけだ。印はどうしようか?」

「文字は浮かび上がらせられるの?だったら・・・」


 とカスタマイズしてもらった。高位貴族だったら逃げられる可能性があるから、せめて屈辱を味わって欲しい。

 塔を管理する門番の立ち会いの元設置してもらった。


「どうせ。塔が崩れたのだろうよ」

「なら、塔は解体なの~」

「そこまではする必要はない。この塔は・」

「門衛殿これは王命ですぞ。このボールを外したら王命不服従です」


 嫌がる門衛、やはりお金をもらってこっそり入れていたな。



 その後、王国北西地区の塔で反応したとヤクツさんから報告が上がった。


「犯人は捕まったの~」

「貴族だった。名は上がってこない」




 ☆☆☆グルジア家


 ・・・一方、近衛騎士団がグルジア家に詰問に来ていた。



「ダネル、あなた、なんてことをしたの?!」

「えっ、姉上がやれと言ったから・・・」

「あれは冗談よ!まさか本当にするなんて・・グスン、グスン・・・」


「陛下からダネルハイケン殿は、プゥ~クスクスクスクス~~、謹慎・・」

「もう、無理、何だ。額に・・・」

「額に『犬』と出ているぞ!ヤクツ殿の言った通りだ」


「謹慎だが、こっそり外に出られないな」

「ヒィ、それじゃ、貴族学園にいけない・・・」

「ああ、いけない。刑期まで屋敷内の貴族牢で謹慎だ。犬の文字の消し方は機密だ」

「そんな。平民に怪我をさせようとしただけだよ!」


「それが罪だ!」




 ・・・・・・・・・



 フウ、何とか私。ミレーヌにまで追求が来なかったわ。

 塔に行く。そこから平民を見下ろすのが好きだったわ・・・

 どこの塔に行こうかしら。私は思索にふける・・・


「えっ」


 塔に平民が大勢入っているわ。


「さあ、さあ、景色最高だよ。入場料、銅貨五枚だ」


 


「お嬢様、如何しますか」

「行きなさい!もういいわ」


 馬車を走らせる。

 一般開放をして入場料を取り維持費に充てる・・・門番もお給金が上がる・・


【ですって、平民の入れ知恵ね!】

「ミレーヌ様!カップを投げないで下さい」





 ・・・・・・・・・


 


 塔の管理は第三セクター方式を上奏したぜ。

 トーマス商会で串焼きストリートの塔の管理維持を任されたぜ。

 今、塔の上にいる。


「すごいの~、皆、一生懸命働いているの~」

「まあ、メアリー様、危ないから窓から少し下がって」

「マリーしゃん。ここに安全柵を作るの~」


 ここがお気に入りの場所になったぜ!


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― 新着の感想 ―
姉はとり逃したか。そのうち姉の方も何とかしないとまた問題をおこしこうだな・・・。
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