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実の子が見つかったからと邪険にされたので、屋敷を出た養女の話  作者: 山田 勝


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悪役幼女メアリー

「メアリー様、こんな馬車本当に売れるのですか?」

「ナンバーワンよりもオンリーワンなの~」


 と使い古された歌詞か、出来ない子をなぐさめるようなことをハンス馬車工房のハンスさんに言った。


 ハンス馬車工房はトーマス商会が出資し、今風で言えば、持ち株会社だ。

 今は新たに作らせた馬車を目の前にしている。


 ターゲットは子供だ。白く塗ったチューリップの形の小型の馬車だ。


 子供って変な物を好むときがある。AIに作らせた変なヌイグルミが売れたことがあった。足が生えたサメがスニーカーを履いているヌイグルミだ。



「しかし、こんな馬車・・・子供が欲しがるのですか?」


「ターゲットは子供でもお財布を持っている保護者狙いなの~、親馬鹿で自分の子供が一番可愛いと思う親なの~」


「メアリー様は幼女ですよね・・・」

「プンプンなの~!危機感がないの~!」


 ハンスさんの頭をペシペシ叩いた。

 これから人力車は頭打ちになる。リヤカー、一輪車もあるが、商品開発をするべきだ。


 日本だと自動車メーカーが8つほどあるが、小さな自動車メーカーがゴルフカートや奇抜な車を作って生き残りをかけていた。ハンス馬車工房も小さい。そんなイメージだ。


 さて、宣伝も兼ねて私がチューリップの馬車に乗る。

 可愛い子を見つけて、宣伝してもらおうとしたが、まずは私が乗るべきだ。


 ポニーのトニー君をお迎えして、マリーさんに御者をやってもらうことにした。


「まあ、田舎を思い出しますわ」

「ヒヒ~ン、ヒン?」(ご主人様、優しいかな?)


 更に、ゴロツキ、いや商会員が護衛につくことになった。馬車の周りを徒歩で固める。

「ボム、サム、トム、行くの~」


「「「ヘイ!」」」


 この馬車で王都を行く。目立つ。目立つ。子供がはしゃぎ始めた。


「ウワー、変な馬車!」


「捕まえるの~」

「「「ヘイ!」」」

「何だよ。笑っただけだよ」


 指をさして笑う子を捕まえて馬車に乗せる。宣伝と言うよりも同罪だ。一緒に辱めを受けてもらおう。


「ヒィ、許して下さい・・・あれ、揺れない・・」

「そうなの~」


 これは現代自動車のように揺れないシステムの開発を依頼した。

 しかし、小型馬車や人力車がせいぜいだ。


 更に、東方貿易ギルドから依頼を受けた。


「このキモノはどうでしょうか?ワアク国のドレスです」

「ハニャ、綺麗なの~」


 浮世絵を見いだしたメアリーちゃんは東方貿易の目利きみたいな立ち位置になった。

 着物か・・・


 ワアク国、国民的海賊漫画の日本もどきみたいな呼び方だが、イスラム商人の呼び方に近いな。

 イスラム商人は日本の事を『ワクワク』と呼んでいたそうだ。倭の国か?


 さすがに着物の着付けみたいに着ることは出来ない。


 ジャケットのように羽織る。マリーさんには白に桜の模様。メアリーちゃんは日本人形のような赤い着物だ。


「ウワー!」

「綺麗・・・ね」

「欲しいわ」


 メアリーちゃんも窓を開けて通行人に媚びを売ろうと思ったら、ショーウィンドウに映った自分に驚いた。


 まるで妖精だ・・・


「キャアー!可愛い!」

「どこの子かしら」

「串焼きストリートのメアリー様よ」




 そんなこんなをしていたら、目立った。ある日、ナイフを持った男が馬車の行く手をふさいだ。



「メアリーの馬車だな!降りろ!話を聞け!」


 ガードマンたちが対峙するが、メアリーちゃんは馬車を降りた。


「姉御!危ないですよ」

「メアリー様!」

「いいの~、お話を聞くの~」


 どうせ、聖魔法がある。ちょっとショックで眠らせれば良いかと思って近づく。

 すると、逆に退き始めた。腰が引けている。


「ヒィ!何で前に来るのだよ!」

「ハニャ、お前が降りろと言ったの~、話を聞けと言ったの~」

「お前のせいで代々続いた串焼き屋潰れて、妻が子供を連れて出て行ったのだぞ!」


 そうか、光あるところ陰あり。資本主義だな。


「メアリーを刺せば奥さんと子供帰って来るの~?串焼き屋が復活するの~?」

「ヒィ」


 膝を落とした。


「捕まえろ!!」



 マリーさんに怒られた。

「メアリー様、肝を冷やしましたわ!」

「ごめんなの~」


 ゴロツキたちからは絶賛された。

「姉御、ナイフを持っている者の心理、よく分かっていらっしゃる」

「度胸ありますね」


 話を聞くと男の名はボイドさん。30すぎで代々続いた串焼き屋を営んでいたが、串焼きストリートに客が流れて倒産をした。


 逆恨みか・・・


「姉御、衛兵隊に引き渡しますぜ」

「ちょっと待つの~」


 ただで許してもいけない。

 なら悪役幼女になるか。


「ボイド、メアリーと串焼き勝負をするの~、お前は私に負けて更に無様を晒すの~」

「な、何だって・・」

「お前の串焼きが不味くて売れなかったと証明するの~」


 さあ、どうだ。ここまで言われて奮起するか?


「ウウ・・」


 ダメだな。だからささやいた。


「有名になったら、奥しゃまと子供帰って来るかもなの~、まあ、万が一にもないの~」


「え、でも、そちらが圧倒的に有利じゃないか?どうせ串焼きストリートで勝負だろ?」


優柔不断だな。

だから、高笑いをして挑発した。


「オ~ホホホなの~、自意識過剰なの~、お前を叩き潰すのはペロペロキャンディーを持つくらい軽いの~、お前の得意な場所で良いの~」


「な、何だと、どこまで馬鹿にして!」


 ってなことで串焼き勝負をすることになった。


まあ、わざと負けるつもりだ、不思議な勝ちはあり、負けに不思議はないと昔の人は言った。負けるのはたやすいだろう。傲慢になれば良いだろう。もう、ボロ負けで良いだろう。『ギャフン』と言ってやる。妻子が帰ってくれば良いか。メアリーちゃんの目覚めが良くなる。


こいつも代々続く老舗だ。腕は確かだろう。

とこの時は思っていたメアリーがいた。


 

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