プロローグ
「うむ。メアリー7歳の誕生日おめでとう」
「グスン、グスン、元気に育って嬉しいわ」
「「「お嬢様、おめでとうございます」」」
「みなしゃま。ありがとうなの~」
私はメアリー、今日7歳になったぜ。
庭園で大規模に祝ってくれた。
お義父様は口ひげがピョンと左右に分けている33歳の伯爵だ。
「うむ。嬉しいぞ。無事に7歳になって」
そして、お義母様は28歳の伯爵夫人だ。
「グスン、グスン・・・嬉しいわ」
体が弱くいつも伏せがちだ。
私は孤児院出身、この家に来て3年か?
「メアリー、プレゼントだ」
「わーい。何なの~」
お義父様から渡されたのは宝石箱だ。
「メアリー、これから沢山宝石を買って差し上げますわ」
「わーい。お義母様、有難うなの~」
「正式に令嬢教育を始めるぞ」
「わーいなの~、令嬢になれるの~」
今まではお義母様がつきっきりだった。抱っこされたり。髪をほぐしてもらったり。
ドレスのお着替えをしたりと、可愛がってもらったぜ。
その時、執事長が飛び込んで来た。
【旦那様、奥様、大変でございます。本物のメアリー様が見つかりました】
「何だって」
「まあ・・・」
私はメアリーだ。意味が分からない。
「何なのでしゅか~」
と問うたが、お義父様、お母様は無視をする。
「大変だ。今行く」
「グスン、グスン、メアリー。生きていたのね」
あっと間に使用人たちもいなくなり。庭園は私、1人ぼっちになった。
ケーキにはロウソクが7本たったままだ。
その後、使用人たちの話でだいたい分かった。
私が引き取られたのは、お義母様が産んだメアリーが3歳の頃、お義母様とお出かけしたときに行方不明になったのだ。
「お嬢様、引っ越しになります」
「はいなの~」
部屋も移された。今までは日当たりの良い所だったが、少し日当たりが悪い。
これなら、許容範囲だ。と思ったが、家具は大人の物だ。
「椅子に座れないの~、クッション欲しいの~」
「分かりましたわ」
メイドに頼むがいつまでたっても来ない。
そうだ。お着替えをしようと私専用のドレス室に行くが、お義母様に注意された。
「キャア、メアリー、触らないで、この部屋に入っちゃいけないでしょう!」
「お義母様、分かったの~」
「この部屋に入ってはいけませんわ」
トホホだ。私専用の衣装部屋は立ち入り禁止になった。
でも、食事なら。
「おい、そこはメアリーの席だ。今日から食事は部屋に届ける。下がりなさい」
「お義父様、はいなの~」
辛いぜ。いつも絵本を読んでくるメイドもそっけなくなった。
「スージ、絵本読んで欲しいの」
「お嬢様、忙しいので無理ですわ」
はあ、普通なら状況の変化に耐えられないだろう。
しかし、私は転生者だ。
状況は理解出来る。
「出て行くの~」
『今まで有難うございました』
と置き手紙を置いて出て行った。
孤児院に戻るか。
しかし、ヒラヒラのドレスしかないな。
思い出したが、可愛がってもらったが、まるで愛玩動物のようだった。
まあ、良い。育ててもらったことは確かだ。
私は本物のメアリーを迎えるどさくさに紛れてお屋敷を出た。
屋敷の前で礼をして
「今まで有難うございましたなの~」
誰も聞いていないが言った。
「ハニャ」
気がついたら涙が頬を伝わっていた。
そうか、やっぱり寂しかったのか。
私はこうしてお屋敷を出た。




