どうする?魔王様。最強勇者 対 最強メイド?3
「なんで仲良くできないの!? けんかするならセシルもエレナも嫌い!!」
瞳に涙を溜めながらボクが2人に言うと、慌ててセシルもエレナもあたふたしながら必死に弁解する。
「違うんですソアラ様!! 私達はちょっと運動していただけなのです!!」
「そうそう! うち達は仲良し! 仲良すぎるくらいだから! これはけんかじゃなくてスポーツなの!!」
「……本当?」
ボクは潤んだ瞳で上目遣いにセシルとエレナを見上げる。
セシルとエレナは頬を赤く染めながらボクに抱き付いてくる。
「……ソアラ様は可愛いですね。私はソアラ様の従者ですからソアラ様の悲しむことはしませんよ」
「よしよし。ソアラちゃんに心配かけてごめんねぇ~。もうソアラちゃんを泣かせないから許してぇ~」
ボクを挟んで左右から抱き付いているセシルとエレナに、ボクはホッと胸を撫で下ろした。
セシルとエレナはギスギスしていたが、ボクの挟んで手を握ってあげて歩くことでなんとか機嫌を維持している状態だ。
まあ、ひとまずは地形が少し変わるくらいで済んだことを良しとしなければならないだろう。
街に戻ると、多くの人々が盛大な拍手でボク達を迎えた。
なにが起きたのか分からずにボク達がきょとんとしていると、偉そうなちょび髭を生やした中年の男が兵士達とこちらに歩いてきた。
その中年の男はエレナの前まで来ると、急に低姿勢なって手の平を擦り合わせる。
「勇者様。街を強大な魔族から守って頂きありがとうございます」
「……は?」
不思議そうに首を傾げるエレナに中年の男が兵士達から重そうな皮の袋に入った金貨を持ってこさせる。
「……ということでこちらは魔族から街を守って頂いた報奨金となります。どうぞ、お納め下さい」
兵士が跪きエレナの前に金貨の袋を捧げる。
エレナは困惑した表情だったが、話を理解したのか急に偉そうに腰に手を当てて胸を張った。
「そ、そうなのよ! 全く魔族達には困ったものね!」
エレナの妙な演技に兵士達が深々と頭を下げて退がっていく。
街の人々はエレナに拍手を送り、中年の男は深々と一礼した。
誇らしげな顔で讃えられているエレナに、あからさまに不機嫌そうなセシルをボクが抱きついて押さえた。
ボクに抱きつかれたセシルは幸せそうな表情をしている。
ここでセシルに暴れられたら、もう街へ出入りできなくなる。それは勇者との決着をつけていないボクには都合が悪い。




