村に住む少年、死んで女の子で魔王様になる。4
掴まれていた両腕をフィオレアが放すと、ボクは力なく地面に倒れ込んだ。
涙で滲む紫色の瞳で細やかな復讐でフィオレアを睨みつける。
「ふん……反抗的な目つきね。まあ、いいわ。どうせあなたは私には逆らえない定めなのだから……」
フィオレアは冷たい目でボクを見下ろした。
彼女は一歩近づき、ボクの顎をクイッと掴む。
「いい? ソアラ。これだけは覚えておきなさい? 魔王として威厳を持ちなさい。そして、魔王としてどんな相手にも負けないことね……」
フィオレアはそう言って姿を消した。
ボクは無理矢理押し付けられた魔王という肩書きに戸惑い、困惑しながらも立ち上がり部屋の中を見渡した。
豪華な装飾が施された部屋の中央には玉座がある。
ボクは裸のまま辺りを見回し、近くのクローゼットから体に合いそうなドレスを出して身につける。サイズはピッタリだった。
部屋を出ると城の廊下を進んでいくと、大きな鏡がありそこに映った自分の姿を見てぎょっとした。
白銀の長い髪に紫色の美しい宝石のような瞳。
肌は透き通るように白く、体は華奢で顔は可愛らしい。
「……これがボク?」
ボクは着ていたドレスの裾を持ち上げて眺める。
ドレスは純白の高価な素材で作られており、フリルやレースなどの装飾が多く施されていた。
その場でくるりと回ってみるとドレスの裾がふわりと舞い上がり、ボクの心臓はドキドキと鼓動を打つ。
「そっか……これがボクか……か、かわいい……」
ボクは小さく呟いて、ドレスの裾をギュッと握りしめると、鏡の前で笑顔を作りポーズを取る。
しばらく楽しんでいるうちに、廊下に誰かの気配を感じたボクは慌ててスカートの裾を下ろして平静を装う。
廊下を歩いてくる音が聞こえたかと思うと一人の人影が現れた。
ボクは警戒して身構えると、そこに現れたのは一人の少女だった。
金髪に赤眼の瞳の16歳くらいの美しい少女だった。
「ソアラ様。私はこれから世界征服のお手伝いを致します。眷属のセシル・エルミエールです。よろしくお願いします」
「うん。ボクの方こそよろしくお願いします! セシル」
ボクがにっこりと微笑むと、セシルも少し恥ずかしそうに頬を染めて頷いた。
さっそくボクは世界征服の為に侵略を開始する。
本当はそんなことをしたくないが、世界征服をしないと考えただけでお腹の紋章が我慢できないくらいに熱くなって疼いて仕方なくなる。それがボクに世界征服しなければいけないという強迫観念を植え付けてくるのだ。
「よし! ボクはちょっと街に出掛けてくる! セシルは危ないから城で待ってて!」
ボクは目を瞑ると地図を指差しながら心で念じた。




