魔王様。ダンジョンで絶体絶命?8
次に現れた時は魔王城の前に立っていた。ボクもルシアも手を繋いだまま魔王城を見上げている。
「さあ、ここがボクの家だよ! ルシア。行こう! セシルにシュークリームを作って貰おっ!!」
「……うん」
ボクはルシアの手を引いて笑顔で走り出す。
魔王城の中に入ると、ルシアが笑顔で出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、ソアラ様。シュークリームをご用意してますよ? さあ、こちらに……」
「セシル。ありがとう! でも、なんでシュークリームをセシルに頼もうとしてたのが分かったの?」
「ふふっ、私はソアラ様のことは何でもお見通しですよ? 私はソアラ様の忠実な下僕ですから……」
「……そっか! セシルはすごいんだね!」
ソアラは疑いなど微塵もない満面の笑みを浮かべた。
「そんなことより、ソアラ様? あの子は誰ですか? お友達ですか?」
「……うーん。ルシアはボクの新しい家来だよ!」
自慢げにボクは胸を張ってセシルに言った。
セシルは笑みを浮かべると、ボクの頭を撫でる。
「配下を増やしたえらいソアラ様にはご褒美をあげないとですね。今、シュークリームを持って参りますので、テーブルに座ってお待ち下さい」
そう言ってセシルは部屋を出て行った。
「シュークリーム! シュークリーム!」
「シュークリーム。シュークリーム」
ボクとルシアはシュークリームを食べることで頭がいっぱいだった。
セシルはシュークリームがたくさん盛られた皿を持って来ると、ボクとルシアは両手を上げて喜んだ。
「やったー! シュークリーム!」
「シュークリームおいしそう」
ボクとルシアはシュークリームに噛み付くと、口の周りを生クリームとカスタードクリームでベタベタにしながら幸せそうに仲良くシュークリームを食べた。
ボクとルシアはお腹がパンパンに膨れるまでシュークリームを食べると、満足そうな顔をしていた。
「……シュークリーム。おいしかった……」
「もう、ボク……当分はシュークリーム食べなくていいや……」
ルシアとボクは妊娠したようなシュークリームが詰まった大きなお腹を撫でながら言った。
「ソアラ様もルシアちゃんも、お外で遊んできたので体が汚れています。私も入りますから、おふたりも一緒にお風呂に入っちゃって下さい」
「はーい!」
「……わかった」
セシルの言葉にボクとルシアは返事をした。
脱衣所で先に裸になったセシルがボクとルシアの服を脱がせにかかる。
「ほら、おふたりとも服を脱がせますからバンザイしてください?」
「うん!」
「……うん」
セシルは慣れた様子でボクとルシアの服を手際良く脱がせると、すっぽんぽんになったルシアが浴室に駆けて行くのをボクが慌てて追いかけた。
「……おふろ~」
「ちょ! 危ないよルー。お風呂は走ったらだめぇ~」
「おふたりとも、走ったら危ないですよー」
セシルはそんなボク達を見て微笑みながら言った。
お風呂に入るとボクとルシアを隣に並べてセシルがボク達の体を洗ってくれた。
「じっとしてて下さいね。ソアラ様……」」
「うん……んっ……あっ……」
ボクはもじもじしながら目を瞑ってセシルに体を隅々まで洗ってもらう。
「さあ、次はルシアちゃんですよー」
「……うん……あっ……あっ……ふわぁ……セシルのあらいかた。スライムみたいで……きもちいい……」
気持ち良さそうにピクンと体を震わせながら体を洗われていたルシアがそう言った。
ボクはスライムの話が出た瞬間に、今日の出来事を思い出して耳まで顔を真っ赤に染めながら慌ててブンブンと手を振った、
「あー! あー! ルシア! スライムのことは禁止! セシルもスライムはなんでもないからね!」
ボクはそう言って誤魔化すと、ルシアの耳元で小さな声で言った。
「しー! ダンジョンでスライムのことはセシルに黙ってて……もしばれたらもうダンジョンに行けなくなるよ? ボクとルーだくの秘密だよ?」
「……ダンジョン。きもちいい……行けないとこまる。わかった……ルー、今日のことだまってる……ソアラとルーだけのひみつ」
ルシアはぺこっと小さく頷くのを見てボクはホッと胸を撫で下ろした。




