魔王様。ダンジョンで絶体絶命?6
ルシアに再びスライムから助けてもらったボクは肩を大きく揺らしながら呼吸を繰り返していると、ルシアがボクの手を引いた。
「……ソアラ。こっち……倒したモンスターを回収する」
「はぁ……はぁ……まって、まだ腰に力がはいらなくて……たてない……から……」
地面にぺたんと座り込んでいるボクの手をぐいぐいを引いてくるルシア。
ルシアは焦れたのか、地面に座り込むボクを軽々と背負うとそのまま走り出した。
ボクを背負って全速力で走るルシアは崖を一息でジャンプすると、ボクなんていないような物凄いスピードで走る。
過ぎ去る景色が弾丸のように目の前を横切っては消えて行くと、突然ルシアの足が止まった。
「……ここ。ソアラ待ってる」
「う、うん」
ルシアはとことこと歩いて行くが、そこには黒い岩の壁があるだけだった。
ルシアはそれを軽々と片手で持ち上げると、黒い岩の壁だと思っていたものから目がギロリと見開いてボクを見た。
「ル、ルー。それ……まだ、生きてる……」
「これ、お金になる……おいしいご飯、いっぱい食べる……」
ルシアはウキウキで腰のベルトを片手で外してバッグを取ろうとカチャカチャと苦戦していた。
その直後、ルシアの体を黒い鞭みたいなのが吹き飛ばした。
まるでバッドで打たれた野球のボールのように吹き飛ばされたルシアが岩の壁にぶつかって岩の中にめり込んで消えた。
「ルー!! あっ……ドラゴンだ……」
ルシアの方を向いていたボクを金色の大きな瞳が凝視している。
黒い鱗のドラゴンがゆっくりと長い首を伸ばすと立ち上がる。
その大きさは家なんかよりも遥かに大きく、その巨体を見上げたボクは絶望して体をビクビクと震わせながらその場にぺたんと座り込んでしまった。
ドラゴンはボクを見るなり怒りの視線を向けて大きな口をボクに向けて吼えた。
グォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
「ひっ……ご、ごめんなさい……」
完全に恐怖に腰が抜けてしまって立てないボクはドラゴンに命乞いをするように弱々しく謝る。
激昂したドラゴンの口が開いて赤い炎が見えた。
「……あっ、ボク……死ぬんだ……」
熱気がボクの肌を撫でる感覚に全てを諦めた直後、何が飛んできてドラゴンの頭を殴った。
口から放たれたブレスがダンジョンの壁にぶつかり、壁を抉るように粉砕している。
ボクの前にさっき吹き飛ばされたはずのルシアが拳を構えて立っていた。
「……びっくりした。でも、ルーは強い。ドラゴン弱い。狩りは強い方が勝つ!」
「ルー!? 大丈夫なの!?」
ボクがルシアに聞くと、ルシアは小さく頷く。
一瞬怯んだドラゴンだったが再びルシアをその金色の大きな瞳が捉える。




