魔王様。ダンジョンで絶体絶命?4
自分の力でこのピンチを切り抜けるしかない。
「んっ……はなしてぇ! ボクはかえるんだ! ちょ……ひっぱらないでぇ……」
体にまとわりついてくるスライムを無理矢理引きはなすと、ボクはスライムの上に立って必死につま先立ちで手を伸ばした。
だが、届かない。それどころか、底なし沼のようにゆっくりと沈んでいって、穴の出口が遠退いていく。
泣きそうになりながらも必死に手を伸ばすけど、足に絡み付いたスライム達がボクの体を引っ張って呑み込んでいく。
「ボクはかえるんだ……エクセリア……セシル……」
勇者とセシルの顔が浮かんで、視界が涙で揺らいだ。
だが、そんな想いとは裏腹に足からゆっくりとスライムに呑み込まれ穴の出口は高く遠く離れていく。
再びスライムの中に飲み込まれたボクをスライム達は容赦なくむさぼる。
「やだぁ……やめてぇ! はなして! はなしてよ! だれか! だれか……んっ! んぐっ……んんっ……」
スライムがボクの口に入ってきて声を封じる。
こうなったらもう、どうしようもない。
「んっ……んんっ……んんっ……んっ……」
ボクは抵抗するが暴れれば暴れるほど餅のように手足に引っ付いたスライム達は絡み付いてくる。
息ができない恐怖と、体中に電気が流れるような感覚が止まらない空を飛んでいるようなふわふわした不思議な感じにビクビクと自分の身体ではないかのようにボクは震える。
大人しくなったことでスライムが口から離れた。
「はぁ……はぁ……んっ……やだ……やだよぉ……たすけ……だれかぁ……ゆうしゃ……」
スライム達に体をまさぐられながら、ボクは穴の中から岩しかないダンジョンの天井を見上げていた。
……10分後。
「あっ……んあっ! やだ! もうだめぇ! もうむりぃ! おかしくなる!! おかしくなっちゃうぅぅ!! これいじょうは……んんっ!! だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
……20分後。
「あっ……やだぁ……やだよぉ……もうむりぃ……あっ……あっ……しんじゃう……しんじゃうよぉ……ボク……また……きちゃ……んっ! んあっ!!」
……30分後。
「あっ……あっ……ごめんなさい……あっ……ごめんなさい……んっ……あっ……ごめんなさ……」
全身の体力がなくなり、身体の中の水分も出し尽くしたのにスライム達はボクをはなしてくれない……どんなにあやまってもスライムはボクをゆるしてくれない……
ボク。ここで死ぬんだぁ……きっとミイラになるまで……このままなんだ……セシル……エクセリア……
そう心で思いながら虚ろな目で落とし穴の先を見つめていると、ひょっこりと青い肩くらいの髪に青い瞳の女の子が穴を覗き込んだ。




