村に住む少年、死んで女の子で魔王様になる。2
次に目を覚ますと、石の壁に覆われた薄暗い部屋の中だった。
下からぼんやりと照らされている淡い光の方を向くと、地面から魔法陣が青白く輝いていた。
「……これは? ボク。死んだはずじゃ……んっ? 声がおかしい。まるで女の子みたいだ……」
ボクは目を擦ると、やけに小さな手が視界に入った。
「手もちっちゃい……まるで、女の……ボク。女の子!?」
その手を見つめるとボクは慌てて股間に手を当てて確認する。
「ふぅ~、よかったぁ~ボクの大事なキノコがここに……ってあれ?」
ボクは手に握られたキノコをまじまじと見つめた。
そこにはキノコがしっかりと握られている。
だが、それは本物のキノコで……
慌てて握っていたキノコを放り投げ再び股間を確認した。
「……ない!! ボクの大事なものがない!! ボク。女の子になってる!!」
ボクは股間のキノコを探して足の付け根をまさぐるが、そこにはなにもなかった。
恐る恐る股間に視線を落とすと、見慣れない景色が広がっていた。
「うぅぅ……ここもちゃんと女の子になってる……」
顔を真っ赤に染めたボクは恥ずかしさから肩をすぼめている。
三つの頭を持つ犬に襲われ、良く分からないが、何故かボクは生きていてしかも女の子になってしまったらしい。
しかも、服を着ていない素っ裸の状態だ。
地面に広がる水溜まりを鏡代わりにすると、白銀の長い髪に紫色の美しい女の子が映っていた。
「かわいい……じゃなかった。とにかく、着る物を探そう……このままじゃ、寒いし……」
ボクは部屋の中を見渡して、とりあえず着られそうなものを探す。
すると、階段を見つけた。ここから上に向かえば着る物が見つかるかもしれないし、運が良ければ外に出られるかもしれない。
階段を登っていくと古びた大きな扉があった。
ボクはゆっくりと扉を開けて中へ入った。
明かりが眩しくてボクは思わず目を細めた。
目が慣れて視力が戻ると、そこには美しい真っ赤なドレスを着た20歳くらいの女性が椅子に座っていた。
ボクは今、裸の状態だ。顔を真っ赤に染めながら慌てて胸と股間に手をやって隠した。
「あら、目が覚めたの? ごめんなさい。うちの駄犬があなたを殺してしまったらしいの。まあ、生き返らせたからチャラでいいわよね?」
「いいわけない!! 後、ボクを男の子に戻して!!」
ボクはその女性に抗議した。
女性は悪戯な笑みを浮かべると、ボクの方に歩いてきて胸と股間を隠していた手を掴むと両手を頭の上に挙げさせた。
大事な部分が丸見えになったボクは顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「きゃああああああああああああああっ!!」
甲高い女の子の悲鳴が部屋中に響き渡った。




