魔王様はトラウマを乗り越えられる?4
「勇者……いや、羽虫か……どちらにしても命拾いしましたね……ソアラ様が風邪を引いてはいけませんので、今日は失礼します。が……ふふっ、次はありませんよ?」
「なにが……言いたいのよ?」
殺気のこもった冷たいその視線に、エクセリアはごくりと生唾を呑み込んで、緊張した様子でセシルを睨みつけた。
その視線に構う事なく、セシルはボクを抱いたまま歩き出した。
「うぅぅ……ひぐっ……ぐすん」
「……さあ、ソアラ様。お風呂に入って冷えた体を温めましょうねぇ~」
「ちょっと! ま…………」
身をひるがえして去って行こうとするセシルに、エクセリアは口を開くのを途中で止めた。
それは自分が殺されると悟ったからに他ならない。
悔しいが、セシルとエクセリアは今のままでは龍とアリほどの差がある。
エクセリアは背中を見せてスッと消えたセシル達をただ見送るしかなかった。
魔王城に帰るとセシルはボクを抱いたままお風呂場へと直行する。
脱衣所に着くとボクの着ていた服を脱がせてくれる。
「……ソアラ様。パンツを脱がせますから、足を上げてください?」
「うぅぅ……たすけてくれて……セシルありがとう……」
「いいんですよ? 私の可愛いソアラ様が怪我でもされたら、セシルは泣いてしまいます」
セシルはボクに目線を合わせてにっこりと微笑んだ。
ボクの体を優しく抱きしめると、ボクはセシルの胸に顔を埋めて甘える。
「……ひぐっ……ひぐっ……うわぁああああああん!!」
安心したからか再び涙がこぼれてしまう。ボクはセシルに抱きついたまま涙を流してわんわんと泣いた。
セシルはそんなボクの頭を優しく撫でてくれた。
「大丈夫ですよ。私がソアラ様のそばにずっと居ますからね……」
「……ぐすっ……ひぐっ……セシル……ありがと……」
優しくボクを抱きしめてくれたセシルは、ボクの背中を撫でて落ち着かせてくれる。
「ボク……ボク……次はもっとがんばる……」
「私はソアラ様が世界で一番がんばり屋さんなのをしっています……でも、もっと私に甘えてくれてもいいんですよ? 世界で一番大切な私のソアラ様……」
ボクとセシルはしばらく抱き合っていた。




