魔王様はトラウマを乗り越えられる?3
「……この駄犬が、私の可愛いソアラ様に汚いよだれを垂らして……発情期ですか?」
「うぅぅ……ひぐっ……セ、セシル……こわかったよぉ~」
「あらあら、ソアラ様。そんなに泣いたら、せっかくの可愛いお顔が台無しですよ? もう大丈夫です……このセシルが来ましたのでご安心ください」
低く唸るケルベロスにセシルの真紅の瞳が不気味に光る。
「うるさい駄犬……待てもろくにできないのですか? しょうがない……少し躾けて差し上げます……」
セシルはケルベロスの背後に瞬間移動すると、尻尾を掴んで軽々と振り回してその巨体を地面に叩き付けた。
地面が揺れて辺りに土煙りが上がる。
「駄犬風情が……私のソアラ様に……畜生の分際で……牙を向けるなんて……身の程を知れ!」
セシルはケルベロスの尻尾を掴んだまま勢い良く地面に叩き付ける。
ドゴンッ!!! ドゴンッ!!! ドゴンッ!!! ドゴンッ!!! ドゴンッ!!!
何度も何度も地面に打ち付けられる度に地面が抉れクレーターができる。
セシルはケルベロスを空中に放り投げた。そして自らもジャンプして浮かんでいるケルベロスの体を拳で突き上げる。
ケルベロスの巨体が空高く舞い上がると地面に勢い良く落下してきた。
すでに血だらけで虫の息のケルベロスにセシルがゆっくりと歩いていく。
「あらあら……まだ躾けは終わっていませんよ?」
そう言って微笑んだセシルはゆっくりと足を振り上げたかと思うとケルベロスの腹部に足を振り下ろす。
キャン! キャン! キャン!
セシルはニヤリと笑いながら、これでもかと何度もケルベロスの体を踏み付けた。
ケルベロスは抵抗することすら出来ずにされるがままだ。
それはまるで猫がネズミをいたぶるような感覚に近いだろう。
「そろそろ躾もいいでしょう……森へお帰りなさい。あなたみたいなのでもソアラ様の重要な戦力ですから、命だけは
助けてあげましょう……次に私の可愛いソアラ様を傷つけようとしたら……わかりますね?」
凄まじい殺気が周囲に漂い、勇者であるエクセリアですら恐怖で身を震わせた。
セシルがケルベロスの頭に手を伸ばすと緑色に光って、傷付いたケルベロスの体が一瞬で元通りになった。
ケルベロスはキャンキャンと鳴きながら森の方へと逃げていく。
セシルは服に付いた土を払うと、ボクに向かって優しく微笑んだ。
「お怪我はありませんでしたか? ソアラ様」
「……うん。ひぐっ……ひぐっ……セシルぅぅぅ……」
「あらあら、お洋服をこんなにしてしまって……ソアラ様。これでは体が冷えて風邪を引いてしまいますね……ふふっ、早く帰ってお風呂にはいりましょうねぇ……」
セシルは泣きじゃくるボクを抱き上げるとエクセリアの方を向いた。




