魔王様はトラウマを乗り越えられる?2
「ちょっ……まっ……か、硬い!?」
ケルベロスの皮膚はとても硬く、エクセリアの攻撃を全く通さない。
「えっ……ちょっ……ちょっと……こいつ硬すぎっ!」
慌てながらも剣を向けてエクセリアがケルベロスを睨むと、ケルベロスの爪が振り抜かれエクセリアに襲い掛かる。
「くっ! 危ないっ!」
エクセリアは紙一重で避けたが、ケルベロスの爪が直撃した木はバキッと音を立てて折れた。
「こ、こんなの食らったら即死だわ……」
冷や汗を流しながら、ケルベロスの攻撃を必死に回避するエクセリアは反撃に出れずに苦戦していた。
こちらの攻撃が効かないケルベロスだが、そのケルベロスの爪による猛攻を必死で剣で受け流している。
「くっ……この……いい加減……に…してよぉ!!」
エクセリアは後ろにぺたんと座り込んだまま震えているボクを小脇に抱えると全速力で走り出した。
「ソアラ! 逃げるわよ!!」
ケルベロスは全力で逃げるエクセリアの後を追ってくる。
エクセリアは全力でケルベロスから逃げ回った。森の中を駆け抜けてとにかく体力の続くかぎり走り続けた。
「はぁ……はぁ……もう限界……」
ボクを脇に抱え、息切れをしながらも必死に走り続けるエクセリア。
しかし、疲労が蓄積してきたのか足取りが重くなる。
「ねぇー、あんたが呼び出した忠実なる下僕をなんとかしなさいよ! なんで召喚したあんたまで襲ってきてんのよ!!」
「うぅぅ……こわいよぉ……たすけてぇ……」
ボクに向かって叫ぶが、ただ怯えた表情で小動物のように震えていることしかできない。
突然ケルベロスが地面を蹴って跳び上がるとそのままエクセリア達に襲い掛かる。
ドゴンッ!!!!
土煙と共に大きな衝撃音が辺りに響き渡る。
「きゃあああああああああっ!!」
「きゃあああああああああああっ!!」
悲鳴を上げたエクセリア達は吹き飛ばされて地面を転がった。
ケルベロスはボクに狙いを絞ると、低い唸り声を上げてゆっくりと近づく。
「逃げなさい! ソアラ!!」
地面に倒れていたボクは顔を青ざめさせながら固まって動けなかった。
そんなボクに、ケルベロスは鋭い牙を剥き出しにして爪で地面を掻いて助走をつける。
「なにしてるの!! 立って!! 早く逃げてぇー!!」
「……あっ」
ケルベロスがその場に座り込んでいるボクに容赦なく襲い掛かった。
「……たすけてぇー!! ママァー!!」
ボクの悲鳴の直後、轟音と共に辺りに土煙りが上がっていた。
土煙りが次第に収まってくると、そこにはケルベロスを片手で押さえている長い金髪に真紅の瞳の少女が立っていた。




