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あの笑顔は全部嘘だった

これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。


 


 目を覚ますと、暗い天井が揺れて見えた。


 松三郎はすぐに腕と足に強い締めつけを感じた。冷たい金属。

 隣では、玲治も同じように椅子に縛りつけられていた。


 地下室の空気は重く、埃と鉄の匂いが漂っていた。


 目の前に立っていたのは、湊、長門、翔平――

 そしてジェンキンス、ダン、オドネルだった。


 


「……何をしているんだ。離してくれよ!」

 松三郎が声を張った。


 長門は深い溜息をつき、穏やかな表情のまま言った。


「すまない、松三郎。しかし、もう後戻りはできないんだ。」


 


 玲治は震える声でオドネルに叫んだ。


「ドノヴァン! お願いだよ、助けてくれ! ずっと……俺たちの友達だっただろ……!」


 その言葉に、長門がわずかに首を振った。


「……愚かだな、玲治。

 本当に、オドネルが君たちの味方だと思っていたのか?」


 


「だって……俺たちは長い間――」


「違う。」

 長門の声は静かだったが、冷たかった。


 


 その時だった。


 オドネルがゆっくりと手を頭に伸ばした。

 ダンもジェンキンスも同じ動作をする。


 そして、三人同時に――

 かつらを外した。


 淡い光を反射する、完全に剃り上げられた頭皮。

 その中央に、小さな金属片が埋め込まれていた。


 玲治が息を呑んだ。


「……な、何だ、それ……?」


 


 湊が静かに答える。


「“メモリー・グルー”。

 偽の記憶を、他者の脳に直接流し込む装置だ。」


 


 翔平が付け加えた。


「君たちの中の、オドネルとの思い出。

 ジェンキンスとの小さな無駄言。

 ダンとの馬鹿話。

 あれは全部、装置が作った“偽りの思い出”に過ぎない。」


 


 松三郎の喉が震えた。


「……全部……嘘……だったのか?」


 


 オドネルは、もうあの優しい兄貴分の顔ではなかった。

 感情を消した、どこか空虚な目で二人を見下ろしていた。


「俺たちは“友達”ではない。

 ただの契約だ。

 コグノコープスからの任務――

 お前たちの人生へ潜り込み、信頼を得ることだ。」


 


 ジェンキンスも淡々と続けた。


「我々は雇われて数ヶ月だ。

 だが“思い出”は十年分でも生成できる。」


 


「……お前たちは……」


 玲治が言葉を失う。


 


 長門が静かに一歩、前に出た。


「ようやく核心にたどり着いた。

 君たちの記憶――

 その奥深くに、君たちの両親が残した“鍵”が眠っている。」


 


 地下室を満たす沈黙は、まるで冷たい水のようだった。


「さあ……玲治、松三郎。」

 湊が微笑む。微笑みは優しいのに、声は凍っていた。

「次の工程に入ろう。」


 


――偽りの友情は、ここで終わる。

このエピソードを楽しんでいただければ幸いです。次のエピソードはすぐにアップロードします。

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