【爪からお洒落】
アイゼルネ:指が落ちてるのよ
ユフィーリア:夢かな
ユフィーリア:開口一番に「指が落ちてる」なんて戯言が聞こえてきた
ユフィーリア:昼寝しよう
アイゼルネ:マッサージの刑
ユフィーリア:起きまーす
アイゼルネ:指が落ちてるのよ
アイゼルネ:知らない空き教室の真ん中に
アイゼルネ:人間の指みたいな
ユフィーリア:誰かが何かしてたかな
ユフィーリア:どんなの?
アイゼルネ:部位的に言えば人差し指かしら
アイゼルネ:女の人のものっぽいけど、許せないわ
ユフィーリア:指だけがそこに放置されてるのが?
アイゼルネ:この指、爪が割れているしお肌もガサガサよ
アイゼルネ:女の人の指だけだか何だか知らないけど、指先からお洒落をしなきゃ許せないわ
アイゼルネ:舐めないでちょうだい
ユフィーリア:さすが問題児のお洒落番長
アイゼルネ:とりあえずまずは甘皮処理と爪のお手入れからよ
アイゼルネ:爪が割れているなんて許せない
アイゼルネ:完璧に綺麗にしてあげるわ
ユフィーリア:程々にな
ユフィーリア:一緒に購買部へ行ったエドワードさん、現場の状況は?
エドワード:こんな部屋あったっけって思うぐらい不思議な部屋
エドワード:何もない
エドワード:本当に空っぽ、指しかない
ユフィーリア:おかしいの
ユフィーリア:そんな部屋あったかな?
ユフィーリア:ちょっとグローリアとルージュに聞いてみるか
アイゼルネ:綺麗にしてあげているから大人しいわ
アイゼルネ:捕まえるのに苦労したけど
ユフィーリア:本格的にネイル処理してやがる
ユフィーリア:指は大人しい?
アイゼルネ:お湯に浸けているわ
アイゼルネ:甘皮をふやかして、綺麗に押し下げるの
ユフィーリア:どこまでやるつもりだ
アイゼルネ:爪切りから何まで全部よ
アイゼルネ:指の処理が終わったらハンドクリームもつけちゃうわ
エドワード:胸の谷間から大量の器具を取り出すから眩暈がしてきた
エドワード:どこに仕込んでんの
アイゼルネ:女の子の身体には隠し場所がたくさんあるのよ
ユフィーリア:転送魔法でも使ってんだろ
ユフィーリア:そんな豊満な胸でも隠すものに限度がある
ユフィーリア:酒瓶とか出してくるんだぞ
エドワード:納得しちゃったや
エドワード:俺ちゃんもどこからか取り出せるかな、鉄アレイとか
ユフィーリア:お前の場合は衣嚢に仕込むしかねえな
ユフィーリア:ハルみたいな感じの奴
エドワード:衣嚢いっぱいはちょっと
ユフィーリア:あれはあいつが特殊なだけ
アイゼルネ:爪切りも終わったし甘皮処理も終わったわ
【綺麗に整えられた指先だけの写真】
ユフィーリア:お、意外と綺麗な指だな
アイゼルネ:懐かれたのか、おねーさんの手のひらで踊っているわ
アイゼルネ:どんなデザインにしようかしら
アイゼルネ:1本だけだから可愛いのがいいわね
ユフィーリア:度胸があることあること
ユフィーリア:グローリアに聞いたんだけど、そこの教室って『ワラズマ』って言われてるらしいな
ユフィーリア:その指先も人工的な悪霊みたいだ
エドワード:アイゼ、呪われてんの?
エドワード:でも楽しそうにネイル道具まで取り出してるから引っ張り出せるに出せない
ユフィーリア:全部終わったら急いで戻ってこい
ユフィーリア:一応、お祓いみたいなものはやってみるけど
エドワード:お願い
アイゼルネ:どうせならショウちゃんに教えてもらったギャルっぽくしてみようかしら
アイゼルネ:指先を凶器に染め上げて見せるわ
エドワード:指先だけでも凶器って凄くない?
エドワード:何すんの、一体
アイゼルネ:スカルプチュア
ユフィーリア:爪長くすんの?
ユフィーリア:それで襲われたら怖くねえ?
アイゼルネ:大人しいからされるがままよ
アイゼルネ:楽しいわ
アイゼルネ:ユーリもエドも付き合ってくれないから
ユフィーリア:手袋が出来なくなるぐらい爪を伸ばされるのはちょっと
ユフィーリア:しかも補強されてるから簡単に取れなさそうだし
エドワード:筋トレが出来にくくなるからやらない
ユフィーリア:ハルは付き合ったけど、指切り落としてたもんな
エドワード:ハルちゃん「邪魔!!」
エドワード:それで全指落とすのは頭がおかしいんだ
アイゼルネ:補強終わり
【爪が樹脂で伸ばされた指だけの写真】
アイゼルネ:キラキラにしちゃう
アイゼルネ:宝石で爪をゴテゴテにしちゃうわ
エドワード:胸からポロポロとスワロフスキーを取り出しやがった
エドワード:何の病気かと思ったわ
アイゼルネ:失礼ね
アイゼルネ:今年度の健康診断も無事だったわよ
ユフィーリア:嘘つけ
ユフィーリア:握力落ちてるの確認したからな
ユフィーリア:リリアの精密検査から逃げんじゃねえ
アイゼルネ:逃げてる訳じゃないのよ
アイゼルネ:予約が取れないだけよ
ユフィーリア:予約もクソもねえだろうがよ
ユフィーリア:リリア怒ってるぞ
ユフィーリア:捕まえても幻惑魔法をフル活用して逃げるし
ユフィーリア:魔力回路がボロボロになってる証拠じゃねえか
ユフィーリア:嫌でもリリアのところに連れて行くからな
エドワード:アイゼ、観念しな
アイゼルネ:墓穴を掘ったわ
アイゼルネ:みんなに迷惑をかけたくないから行きたくなかったのに
ユフィーリア:迷惑はかかってねえが心配はかけてんだよ
ユフィーリア:説教覚悟しておけよ
アイゼルネ:ユーリってば怒るの苦手じゃない
アイゼルネ:怒れるのかしら?
エドワード:俺ちゃんとショウちゃんとキクガさんだよ
エドワード:通報済みだからな
アイゼルネ:怒りに任せて爪をデコったわ
【長く伸ばされた爪にキラキラの宝石がついた指だけの写真】
ユフィーリア:隙間なく石が敷き詰められている
ユフィーリア:キラキラ具合も半端ない
ユフィーリア:まぶしい
エドワード:凄いデザインだね
エドワード:器用
アイゼルネ:握力を犠牲に指先の器用さは上がったわ
エドワード:これ病気じゃないな
エドワード:きっとサボってるからだ、これ
ユフィーリア:病気の疑いもなくはないからリリアの精密検査を受けさせるけど
ユフィーリア:病気じゃなかったら説教のちに握力を鍛えような
ユフィーリア:女の子にも握力は必要なんだよ
エドワード:せめてジャムの瓶は自力で開けられるようになろう?
エドワード:いつも俺ちゃんやユーリがいるとは限らないんだから
アイゼルネ:ハルちゃんやショウちゃんがいるもの
エドワード:ショウちゃんにも握力負けてんのよ
エドワード:あの細い身体で意外と力があるのよ、ショウちゃん
エドワード:アイゼはひ弱扱いしてるけども
アイゼルネ:若い子の成長は早いのね
アイゼルネ:おねーさん、感動しちゃう
アイゼルネ:指だけの人工悪霊も嬉しそうだわ
ユフィーリア:満足したならいい加減に帰ってこい
ユフィーリア:保健室行くぞ
アイゼルネ:今どうしたら逃げられるか考えているわ
エドワード:待って
エドワード:ねえ、何か部屋の外にいるんだけど
エドワード:何か全身が膨れ上がった女の人みたいなのがいるんですけどぉ!?
ユフィーリア:二度寝しよう
ユフィーリア:起きたら平和になってるよきっと
エドワード:おい寝るな
エドワード:助けろ
アイゼルネ:あら?
アイゼルネ:あの指先だけの子が「行ってこい」みたいな感じで指差してくるわ
アイゼルネ:行ったほうがいいのかしら?
ユフィーリア:おい行くなよ
ユフィーリア:何する気だ
エドワード:アイゼが近づいたら何か変な女の化け物は浄化されました
エドワード:何あれ?
ユフィーリア:あれかな、指の方が悪霊的に強かったのかな
ユフィーリア:ふざけないでほしい
ユフィーリア:呪われてるってか気に入られてるじゃねえか
エドワード:本当だよ
エドワード:早く帰るよ、アイゼ
アイゼルネ:おねーさん、用事を思い出したわ
エドワード:言っておくけど、俺ちゃんは匂いでお前さんを追えるからな
ユフィーリア:何の為にエドとお前をセットで行動させてると思ってんの?
ユフィーリア:お前が逃げても捕まえられるからだよ
アイゼルネ:ちくせう
エドワード:汚い言葉を使うんじゃありませんよ
エドワード:自分を恨みな
《登場人物》
【ユフィーリア】暇があったら爪の処理をされる魔女。この前は昼寝をしているうちに爪がゴッテゴテに盛られていたことがあるので、魔法で元に戻した。
【エドワード】アイゼルネの美容実験に巻き込まれ、爪を補強された上でゴテゴテに盛られた。ユフィーリアに魔法で直してもらった。
【アイゼルネ】爪までお洒落を欠かさないお洒落番長。手先の器用さの代わりに握力が落ちたのは病気でもなく、握力を鍛えていなかったから。リリアからはお咎めなしだったが、このあとエドワードズキャンプに入隊を余儀なくされる。




