第30話「落とし前」
「あぎゃぁぁぁああああ!」
ゴロゴロと転げまわるアグニール達。
服に火がついて酷く悪臭が漂うも、連中ときたらまだ生きてやがる。
それもそのはず、
「そりゃーわざと外したからな──」
ニィ……。
「な、なんだと……ゲホゴホ!」
「そ、そんな強がり言っちゃってぇぇえ」
ヨロヨロと起き上がるアグニールたち。
おおー、その目からは戦意はまだ消えていない。
だけどな。
……強がり?
そりゃーお前らだろ。
「そ、そうですよ! ギリギリ私どものバリアーを破ったようですが……」
「いや? ギリギリでもないし、強がりでもないぜ?」
だってよー。
ツカツカツカッ!
「な、なんだこの! 雑魚の光ぞくぅ」
──ゴキィ!!
「がはぁぁああ!」
なんかクソ生意気な口をきこうとしていたアグニールの顔面につま先を叩き込むライト。
そして、ライトにしがみつくヤミーは、まったくの無感情でアグニールを見下ろしている。
彼女からは憐憫の情もなにも感じられず、表情の読めない目でホゲーとしていた。
うん、いつものヤミーだ。
ホント、何も思うところはないらしい。
何かしら復讐でもしたいというなら、彼女にも殴らせてやろうと思ったが、それすらもバカバカしい相手だな。
いいぜ、ヤミー。
殴るのは俺に任せろとライトは心で呟く。
「う、うぐぐぐ……。て、てめぇ、誰に手ぇ上げてんのかわかってんのか!!」
ん?
わかってるぜ?
「だから殴ってんだが??」
「な、なにを……。こ、このザコ──」
ゴンッ!!
「ぐぁぁあ!」
「ひぃ!! アグニ様になんてことを──あああ!、アグニ様の歯がぁぁ!」
はは! 男前になったじゃないか?
んで、アグニールはなんだっけ?
「誰に手ぇあげてんのか? だったか?」
すぅぅ、
「てめーーーーーーーーに決まってんだろうがぁぁ!!!」
ズドォォン!!!
「エギャァァアア!!!」
ライトの渾身の一撃で、地面にめり込み、バウンドするアグニール。
顔面陥没させた感触がたまんねぇぜ!!
つーかよ、
誰かわからず殴るような奴はよぉ、
それこそヤベー奴だっつーの!!
当然、わかってて殴ってんに決まってんだろうがよぉぉぉお!!
「んでよぉ。サーヤちゃんよぉ」
ユラ〜リ……
「お前はよぉ……。お前はお前で、俺になんか言うことないんか??」
お"っ!!
「ないわよ!!!」
あっそ?
──どッッすーーーんっ!!
「ぎゃぁぁああああああ────は、歯ぁぁああああ!」
メリメリと幼なじみの顔面に突き刺さるライトの拳。
ひゅー唾液がついて、小っ汚ぁー!
「……アグニールの歯だったか? じゃこれでいいよな? カップルで、お揃いだよなー?」
ニヤぁ。
平等パンチが欲しそうなのでサーヤの顔面──……一番痛そうな人中に拳を叩き込んでやった。
ひゅ~かてぇ顔。
「じゃ、次は──」
「ちょ、ちょちょ! わ、私は関係ない──! 関係ないんだ……ぁぁあああああああああああああ!!」
「……は?」
関係ない??
すぅぅ、
「関係、大ありじゃぁぁぁああああああああああああ!!」
過去の因縁もそうだし、
なにより、テメェも俺を見捨てた張本人だろうがぁぁぁあああああ!
なんなら、てめぇが一番ムカつくは変態神父がぁぁあ!!!
「おら、おら、おら、おら、おら、おら、おらぁぁぁあ!!!」
ゴンゴンゴンゴン!!
ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴーーーン!!
「あば、あば、あばぁぁ!!」
なーんか、むかつくことぼざきやがったので、クッソ神父の顔面にも両手を使ってジャブとストレートをそれぞれ計数発ずつぶち込んでやったぜ。
ついでに、ぶっとべやぁぁぉあ!!!
トドメの喧嘩キック!!
アグニールとサーヤが撃沈するそこに追突し、
「「「ひ、ひでぶぅぅう……!!」」」
ドッカーーーーン!!!
そして、
ぷしゅー……もれなく全員の顔面が「*」にへっこんだ。
さぁてお次は────……っと、んん?
トントン
「ちょっと、ライトさん」
肩を叩かれ振り向くライト。
そこには、
ニコ
……ん??
「何すか、メリザさん?」




